日本ハムのドラフト1位有原航平投手(22)が、5月中旬に1軍デビューすることが4月30日、分かった。今後のコンディション面などに支障がなければ、本拠地札幌ドームでの14日西武戦が濃厚。早大時代に抱えていた右肘痛の不安を考慮してキャンプでは登板機会なしも、2軍で実戦5試合の調整を行いゴーサイン。首位固めを狙う5月攻勢の切り札に指名された。4球団が競合した注目ルーキーがベールを脱ぐ。

 日本ハムの今季新戦力で最大の目玉が、ようやく表舞台に姿を現す。静かに備えていた有原のプロ初の1軍登板が、14日西武戦になることが濃厚になった。04年に東京ドームから本拠地を移転後の大物ルーキー投手と同じ系譜を継ぐ。ダルビッシュと斎藤、大谷と同様に、ファンへの初披露は札幌ドームのマウンドが用意される。昨年のドラフトで最多の4球団が競合した末に射止め、待望の大型新人が1軍デビューするプランが固まった。

 機は熟した。イースタン・リーグの4月29日楽天戦(利府)で6回1失点。同月21日巨人戦(鎌ケ谷)と2戦連続、登板間隔は中7日で6回を投げ切った。フューチャーズ戦を含め2軍で計5試合、21回を5失点。既に最速149キロをマークするなど、パフォーマンス面でも本来に近いとの判断材料も得た。早大時代の右肘痛の不安の除去を念頭に、1月の新人合同自主トレからスローペース調整。2月のキャンプでも実戦登板機会はなく、状態の回復を最優先させてきた。

 ベストタイミングと読み、投入に踏み切る。栗山監督らは、かねて慎重に昇格時期を模索。開幕からチームは好調を維持し、先発陣も豊富で充実。そんなプラスの背景もあり、即戦力右腕を熟成させてきた。指揮官は「いろんな兼ね合いがある。どこで行かせるのがベストかを考えている」と今後の先発陣の構成を練っている中で、有原の登用を決めたようだ。早大時代に最速156キロをマークし、多彩な変化球を操る大型の本格派右腕。本来のポテンシャルを発揮できる状態まで到達したと1、2軍首脳陣で一致した意見として、まとまったようだ。

 成功した開幕ダッシュをさらに推進していく、新たな起爆剤になる。単独首位、貯金7で5月に突入。右ふくらはぎをつった大谷の次回登板が未定など、少し不安要素が出てきた先発陣のカンフル剤になりそうだ。3日ロッテ戦(QVCマリン)の先発には2年目右腕の高梨の抜てきも決めた。有原も含めて新風を吹かせ、さらにチームを上昇気流へと乗せる狙いもあるようだ。次代を担う大器が満を持して「5・14」に、プロのスタートラインに立つ。

<有原の調整過程>

 ◆1月10日 千葉・鎌ケ谷で始まった新人合同自主トレで、右肘痛を考慮して、キャッチボールは約30メートルの距離からスタート。

 ◆2月8日 沖縄・国頭での2軍スタートとなった春季キャンプで初のブルペン入り。捕手を立たせて30球を投げた。

 ◆3月13日 鎌ケ谷でプロ入り後初めて打撃投手を務めた。打者2人に対し、42球で安打性の当たりは2本に抑え、最速148キロをマーク。

 ◆3月22日 イースタン・リーグ西武戦(鎌ケ谷)に2番手で初の実戦登板。1回3者凡退に抑え、最速は149キロだった。

 ◆4月2日 イースタン・リーグDeNA戦(鎌ケ谷)で初先発。最速149キロを軸に3回をパーフェクトに封じた。