日大工学部(福島)のトルネード左腕佐藤駿介(4年=日大東北)が、昨秋優勝の東北公益文科大(山形)を2安打無得点に封じ込め、勝利した。

 168センチの佐藤の体が躍動した。淡々と体をひねって投げ込んだ直球とスライダーに昨秋王者は2安打に沈黙。8、9回はともに四死球で2人の走者を許したが動じなかった。「9回は緊張したけど、切り替えて投げられた」。大学初勝利を完封で飾った縁起のいい相手に、通算6勝目を挙げた。

 体調不良を乗り越えた。登板前日は頭痛で、試合終了後は部屋に直行。この日の登板時も頭痛は消えなかったが、逆に頭はさえていた。「投手が少ない中、自分が投げないわけにいかない。力が入らなかった分、力まずに投げられた」。高い修正能力で、主将としてチームに2勝目をプレゼントした。

 小さな体を大きく見せるためのトルネードだ。日大東北1年の冬に投球フォームを改造。同校元監督で当時コーチの宗像忠典氏のアドバイスだった。大学1年の冬には球が走らず原点回帰。より体をひねって背中を向けて投げることで「一番、球が真っすぐ走ってくれるようになった」とフォームが固まった。既にチームは5敗を喫しているが「昨秋王者に勝ったことで、残り3試合に勢いをつけられる」。まだ可能性の残る2季連続Aクラス入りへ、前を向いた。【高橋洋平】

 ◆佐藤駿介(さとう・しゅんすけ)1993年(平5)8月3日、福島県白河市生まれ。小3から楓スポーツ少年団で野球を始め、中2から投手。日大東北では3年夏に背番号10で8強。168センチ、60キロ。左投げ左打ち。血液型A型。