東日本国際大(福島)が東北公益文科大(山形)を下し、2試合を残して2季ぶり25度目の優勝を決めた。先発の右横手船迫大雅(ひろまさ、1年=聖光学院)が6安打完封。ルーキーながら春5勝を挙げ、6年連続11度目の全日本大学野球選手権(6月8日開幕、神宮球場ほか)出場へ導いた。

 端正な顔をゆがませ、船迫が「おりゃー」と何度もほえた。優勝が決まるこの試合の先発を告げられたのは1週間前。「先輩を神宮に導くため出来る限りのピッチングをしようと思った」。力んで6回まで制球が乱れたが、7回から「リラックスして腕が振れた」とすべて3者凡退。9回裏には自己最速タイの138キロもマークした。「8、9回のボールは全部が良かった」。会心のピッチングで1点を守りきった。

 昨夏は聖光学院のエースとして甲子園3勝を挙げ、8強入り。入学前の2月に左足裏を痛めるアクシデントもあったが、春のデビュー戦でいきなり2安打完封。投げた5戦すべて勝ち星を付け、36イニングで四球はわずか4。1年生とは思えない大活躍でリーグ優勝を引き寄せた。仁藤雅之監督(35)は「優勝のかかった試合で、これだけ落ち着いて投げられるのはさすが」と絶賛。もうエースですか、との質問に「そう言わざるを得ないでしょうね」とうれしそうに答えた。

 船迫を含む1年生が5年ぶりに春からレギュラー入りした一方、この日は佐藤大輝(一関学院)がタイムリーを打ち、捕手の安成祐太郎(盛岡大付)が好守備をみせるなど4年生が意地を見せた。2季ぶりにリーグ王者を奪還。ひととき喜びに浸ったが、船迫はもうその先の舞台を思い浮かべていた。「全国では厳しいコースでも対応してくる打者がいる。気持ちで負けないように向かっていきたい」。継投が多かった高校時代と違い、「自分が最後まで投げきると思うようになった」。新エースは、自信を胸に初めての神宮に立つ。【高場泉穂】