お母さんありがとう弾! 中日の4番エクトル・ルナ内野手(35)が母の日に今季1号アーチを放ち、ビジター初勝ち越しを導いた。3回にヤクルト石川のチェンジアップを左翼席に運び、48歳と若い自身の母と全世界の母親に感謝。主砲の1発で打線は13安打6得点と活性化した。秋田で2連勝し、敵地7カード目にして初の勝ち越し。勝率も5割復帰だ。

 ママ、お待たせ! 4番ルナのバットからようやく本塁打が生まれた。1点リードの3回。無死二塁でカウント1-1からチェンジアップを踏ん張ってすくい上げた。快音を残した打球は一直線に左翼芝生席に飛び込んだ。「ここ数試合打てていなかったので、なんとかランナーをかえしたいと思っていたよ」。これが口火となりこの回一挙に5安打4得点。勝利の女神を振り向かせた。

 来日3年目で“最遅”となる、121打席目の初本塁打だ。確かにルナは中距離打者。本塁打を期待するタイプではないが、チームの4番。「自分の野球人生を振り返ってもシーズン100打席目までには必ず打ってるんだけどね」と気にしていた。

 4月には右肘痛から2軍落ち。4月29日に1軍昇格してからも前日9日までの9試合で33打数5安打、3打点、打率1割5分2厘と苦しんでいた。それだけに「1本目がないと2本目はないからね」と手に残る感触がうれしくてたまらない。

 母への感謝は、全世界共通だ。試合前。チームメートが腕に巻くピンクのリストバンドを見てすぐに理解した。「お母さんがいなければ自分たちは存在しない。ドミニカ(共和国)では母の日は5月最後の日曜日。バラを贈る習慣があるんだ」。海の向こうにいる母ラモーナ・タベラスさんは、まだ48歳。お若いママも、異国で頑張る息子の活躍を喜んでいるに違いない。

 ビジターの呪縛も解けた。開幕カードの京セラドーム大阪から始まった敵地でのカード負け越しが、ようやくストップした。秋田2試合で計27安打15得点と打ちまくり、借金も完済だ。これには谷繁兼任監督もニンマリかと思いきや「まだまだこれからです」と表情を崩すことはなかった。明日12日からは首位DeNAとの3連戦(平塚、横浜)。上位に食らいついていく。【桝井聡】