阪神5年目荒木郁也内野手(27)が死闘のキーマンだ。「2番三塁」でスタメン出場。1回に死球で出塁すると、この試合回った6打席すべてで塁に出た。6回に中前打。9回にも楽天松井裕から中前打。延長11回も右前打で出て、この日2個目の盗塁。そこからのサヨナラ生還だ。自身初の猛打賞もマークし、プロ最良の日となった。

 「最後は『これで終わった』という気持ちが一番強かったです。とにかく塁に出て、クリーンアップに回そうという気持ちだけでやっていました。西岡さん、(新井)良太さんの代役は務まらないけれど、できることをしっかりやっていきたいです」

 初めてのお立ち台にも上がったが、舞い上がることなく、東京出身、今どきの若者らしくクールな言葉で話した。

 5年目の今年は自身初の沖縄・宜野座キャンプからスタート。紅白戦ではメッセンジャーから本塁打もマークした。だがキャンプ最終日の打撃練習中に右腹斜筋筋挫傷の負傷。可能性が膨らんでいた開幕1軍を逃した。4月に1度、1軍に呼ばれたが代走に出ただけですぐ抹消。それでもファームで粘り、2度目の昇格を勝ち取ってのこの日だ。

 「(盗塁で)得点圏に進んだからプレッシャーがかかって相手にコントロールミスが出た。全打席出塁して、2番打者として最高の仕事だ」。大仕事をやった若虎に和田監督も笑顔を浮かべた。【編集委員・高原寿夫】