日本ハムが、今季ワーストタイの4連敗を喫した。首位ソフトバンクとの天王山で、今季2度目の同一カード3連敗。5回までに2点を先制したが、7回に一挙4点を奪われて逆転負けした。首位攻防3連戦で、中田翔内野手(26)と大谷翔平投手(20)の4、5番コンビが大ブレーキ。3戦でともに12打数1安打、7三振で、2人で計24打数2安打で14三振。援護射撃できない「平成のON」の沈滞が、暗い影を落とした。

 無力だった。看板の「平成のON」が、最後まで沈んだ。中田と大谷が、大ブレーキで天王山3連戦を終えた。2人で3戦2安打で中田が単打、大谷が内野安打のみ。計14個の「K」の山を築き上げた。この日は、ともに音なし。中田は「見ての通りや」と、投げやりになった。初戦で首位の座を奪われ、2・5ゲーム差へと広げられた。ソフトバンクの背中が、少し遠くなった。「相手よりも自分(の問題)」。大谷は推進力になるはずだった、自身を嘆いた。

 要所で空転した。1回。田中の左翼線適時二塁打で先制した直後だった。初対戦のバンデンハークから畳みかける絶好機の、なおも1死二塁。中田、大谷と空振り三振。ともに決め球は直球で、力勝負で負けた。バットにすら当たることなく、2人で計5度のフルスイング。4回も先頭打者の田中が二塁打を放ち、無死からのビッグチャンス。遊ゴロ、空振り三振に倒れ、追加点の機会を逃した。主導権を完全に奪える一打が、出なかった。

 「平成のON」が沈黙し、緊急事態が拍車をかけた。投手陣を責めるには酷な終盤勝負でひっくり返された。メンドーサの負傷降板で、次々に接戦勝利の使者の中継ぎが、見切り投入されていった。4回途中から谷元を繰り出した。7回に力尽きた。クロッタ、宮西で一挙4点を奪われ、9回は中軸の3者凡退で終幕した。栗山英樹監督(54)は「もっと、もっと1点でも取るために何とかしなければいけなかった」とあと1歩、攻め手を欠いた流れを悔やんだ。

 今季ワーストタイの4連敗で、貯金10。3位西武に0・5差に迫られた。今季2度目の同一カード3連敗だが、同3連戦3連敗は初。中田は試合前に、動画などをチェックして打撃フォームを修正したが、即効性はなし。「修正して1日で結果が出るわけないやろ」と、いらだった。サヨナラ負けした3連戦の初戦の19日の試合後。主力の若手選手がロッカー室で物などに当たり散らして暴れるなど、フラストレーションがたまっている。

 熱く、冷静な指揮官は「戦犯」を1人も名指しすることなく、首位攻防3連戦のタクトを置いた。

 「大事なゲームになればなるほど、主役が何とかしなければいけない。この経験を彼らは必ず生かしてくれると思っている」

 勝負は秋本番。正真正銘の力へと転化したい、重い3敗だった。【高山通史】