若き救世主になれるか-。中日の13年ドラフト1位、鈴木翔太投手(20)が22日、1軍に今季初合流した。谷繁兼任監督らも参加したナゴヤ球場での練習に参加。今日23日からのヤクルト戦にも同行する。昨年はリリーフで5試合に登板したが白星なし。バルデスの離脱で先発不足の中、26日からの広島3連戦(マツダスタジアム)でプロ初先発する可能性もある。

 苦難を乗り越えた13年ドラフト1位右腕にチャンスが巡ってきた。ナゴヤ球場で行われた1軍練習に、20歳を迎えたばかりの背番号18の姿があった。

 独特のゆったりしたフォームから腕をしならせ、大野と遠投を行った。「キャンプも1軍で過ごさせてもらい、1軍で投げるためにここまで頑張ってきた。チャンスをもらったので結果を残したいです」。胸中の燃えるものを抑えるように、意気込みを語った。

 救世主になるかもしれない。1軍の先発投手は吉見に続いてバルデスが左肘痛のために離脱。長期にはおよばないとみられるが、開幕からローテーションを守っているのは大野と山井だけという事態に陥っている。谷繁兼任監督が「その分、若手やほかの投手にはチャンスになる」と語っていた通り、鈴木にもアピール機が舞い込んだ。

 1年目の昨年、高卒ながら地元浜松でデビュー。リリーフで5試合に登板した。白星は付かなかったが秘めた能力と、期待の高さは明らかだった。昨秋は主力投手とともに投手キャンプに参加。今春キャンプも1軍でスタートした。

 だが、3月20日のウエスタン・リーグ阪神戦で打球を左膝に受けた。亀裂骨折の重傷だった。試合復帰まで2カ月を要したが、リハビリ中にフォームチェックを重ね。故障前よりも安定感が増した。この2試合は6回無失点、7回1失点と先発で結果を残した。

 待望された若き先発候補は今日23日のヤクルト戦が行われる岐阜からチームに同行。26日からの広島3連戦で先発抜てきの可能性もある。一足先に今年プロ初白星を挙げ、ローテに定着しつつある3年目若松と同じ20歳右腕。投手陣を覆い始めた暗雲を、ヤングパワーで吹き飛ばしたい。【柏原誠】

 ◆鈴木翔太(すずき・しょうた)1995年(平7)6月16日、静岡・浜松市生まれ。聖隷クリストファーから13年ドラフト1位で中日に入団。14年6月17日に地元浜松での西武戦でデビュー。8回から1イニングを1安打1失点。14年は5試合に登板し、勝ち負けなし、防御率4・50。183センチ、74キロ。右投げ右打ち。