今どきそんなこと言う人見たことなかったけど、甲子園の三塁側ベンチから「ギャフン!」の声が聞こえてきたぜ。4回に阪神福留孝介(38)、マウロ・ゴメス(30)の3、4番コンビが2日連続となる2者連発でがっちり主導権を握った。2者連発×2日。87年真弓、バース以来とレアな爆発に「ギャフンと言わせ」たかったDeNAキヨシ監督も脱帽した。

 歓喜の六甲おろしが終わり、新たな応援に移るわずかな合間だった。静かな甲子園にゴメスの快音が響いた。DeNA三浦の134キロ直球をジャストミート。「ホームランになるとは思わなかった」と疑ったライナーが右中間スタンドに弾んだ。4回に2日連続で完成させた福留との2者連続アーチ。4万1070人の観衆は息つく暇なく、ボルテージを最高潮に戻した。ベンチに戻った主砲も我を忘れて興奮した。

 ゴメス 昨日も福留さんの後にホームランだったけれど、こうしてすぐに再現できた。もっともっと続けていきたいね。10試合ぐらい続けたいね!

 そもそもは拙攻へのため息が始まりだった。直前の3回は無死一塁から8番鶴岡、9番藤浪が相次いで送りバントを失敗。先制できず、甲子園に嫌な空気が充満した。それを変えたのが福留のひと振りだった。前日2本塁打の3番打者は4回1死で4学年年上の41歳三浦をロックオン。「追い込まれてたし、来た球を打とうと思った」という打球は、追い風の助けも受けて右翼スタンドに届いた。先制の12号ソロに和田監督も「あの1発で流れを引き寄せた。球場の雰囲気を変えてくれる1発でした」と聖地の変化を感じ取った。

 衰えない福留の好調ぶりは、周囲も証言している。その1人が連日、試合前練習のフリー打撃で福留の相手を務める嘉勢打撃投手だ。まず、打撃練習の前半に投じるのは外角球。それを左翼から中堅、右翼と打ち分ける福留の打球がバロメーターになるという。「ここまでの2年と全然違う。去年は(西岡と激突した)ケガの影響で、自分の形を取り戻すのに苦労していた。毎日投げていたら分かる。今は描いた通りの打球が飛んでいる」と投手目線で語る。

 リーグ戦再開後6試合で4発の3番福留に3発のゴメス。新3、4番コンビになって7試合。チームは負けなしの無敵状態だ。

 福留 僕だけじゃなくて、野手が援護してあげられて良かったんじゃないですかね。

 明日30日からは神宮、横浜の敵地6連戦が待つ。甲子園の広さに動じない左右の大砲は、猛虎打線の中心を支え続ける。【松本航】