広島ナインが「原爆の日」に、平和を感じながら1球に魂を込める。今年8月6日は2年ぶりに本拠地マツダスタジアムで公式戦(阪神戦)が行われる。記憶の歴史を継承する願いを込めて、緒方監督ら首脳陣、選手全員が背番号「86」の特別ユニホームをまとう。胸に「PEACE」、背中には「HIROSHIMA」と記され、袖には慰霊碑に奉納された原爆死没者数を刻印。帽子の右側頭部にはハトのワッペンが縫いつけられた。

 球団首脳は「何かしら形にして印象に残れば。次の世代へ伝えていくことは私たちの役割でもある。平和を望んで86という形で発信しようと思った」と話す。同じ背番号でユニホームを統一するのは、セ・リーグ公式戦では初の試みだ。

 会見に出席した前田健太投手(27)は「8月6日という特別な日に全選手で同じユニホームを着て戦うことは身が引き締まる思い」と話した。入団以来、年に1度は平和記念公園へ足を運んでいる。「カープは地域のみなさんとともに歩んできた。この日に野球ができる喜びを感じながら、野球がしたい」。広島に根付くプロ球団として、「原爆の日」を風化させないために。野球を通して、全国へメッセージを届ける。【前原淳】