土壇場で追いつき、連敗を4で止めた。楽天が今季14度目の延長戦で西武に勝利した。4点を追う9回にゼラス・ウィーラー内野手(28)が3ラン、牧田明久外野手(33)の適時打で同点に。11回に勝ち越し、延長戦を制した。大久保博元監督(48)が後半戦のカギを握ると話した外国人選手の活躍をきっかけに粘り勝ちし、前半戦最後の試合を締めくくった。

 まさしく“9回の男”だった。9回無死一、二塁。ウィーラーが打席に向かうと、奇跡を願う右翼スタンドから歓声が起こった。前夜には9回1死二塁から中越えの同点適時打。この男ならば何かを起こす。期待を一身に受けると、一振りで決めた。カウント1-0からの2球目、ど真ん中に入った130キロのスライダーを左翼スタンド中段へたたき込んだ。「きっかけを与えられることができた。与えられた打席で結果を残すことが全て」と反撃の3ランで勢いに乗った。

 大久保監督が待ち望んだ1発だ。試合前「日本人がしっかりお膳立てをして、外国人がしっかりかえす。お膳立てをかえしてくれるかどうか、打点を挙げるかが後半戦のカギになる」と話した。チーム打率はリーグ最下位で5位と低迷。全球団でも最下位の得点力を打破するには、外国人選手の活躍が必須だった。この日はその願いを込めて、2番ウィーラー、3番ペーニャ、4番サンチェスと重量級の上位打線を作った。

 外国人が活躍したならば、日本人も魅せた。1点差に詰め寄ると9回2死一塁から代打牧田。高橋朋の初球を鮮やかに打ち返した。打球は左中間を破り、ついに同点に。一塁走者に代走森山を送ったのも功を奏した。大久保監督は「森山も盗塁以上の走塁をしてくれた」と手放しでほめた。11回には1死満塁から岩崎が適時打を放ち、勝ち越し。「もう選手の予備無しだよ」と自虐的に笑うほど、総力戦で試合をものにした。

 連敗を4で止め、前半戦最終戦を締めた。平石打撃コーチも「1発で仕留めたのはでかかった」と助っ人の活躍が勝利のカギだったと振り返った。しかし、殊勲のウィーラーは7月末には子どもが生まれるために一時帰国予定。後半戦へ大久保監督は「全員で戦っていくよ」とさらなる一致団結を誓った。【島根純】