64年ぶりの「大阪市対決」となった決勝は、日本生命(大阪市)が延長14回で大阪ガス(大阪市)を破り、18年ぶり4度目の優勝を飾った。14回2死満塁から、5番広本拓也内野手(26=法大)が、左前に決勝の2点適時打を放ち、勝負を決めた。5回途中から登板した藤井貴之投手(27=同大)は、1失点で投げ切る好投。大阪ガスは6回まで3点をリードしたが、初優勝を逃した。

 時計の針は、午後10時半を回っていた。3-3で迎えた延長14回2死満塁。5番広本が、カウント1-1から内角高めに入った直球を振り抜き、左前に落とした。2人の走者がかえって、2点の勝ち越しだ。「同学年の藤井が粘り強く投げていたので、何とかしたかった」と笑顔がはじけた。

 5回途中から登板した藤井貴は、粘りの投球で勝利を呼び込んだ。広本とともに、ヤンキース田中、広島前田と同じゴールデンエージの「88年世代」。延長10回1死満塁のピンチは143キロで空振り三振、さらに遊ゴロで切り抜けた。「ピンチの時に真っすぐで押せた。最後まで投げ切れて良かったです」。延長戦に入ってからも3度得点圏に走者を背負ったが、サヨナラのピンチで踏ん張り続けた。

 藤井貴は社会人生活最多の155球を投げ、大会MVPに当たる「橋戸賞」を受賞した。歴代最多57度の出場を誇るチームだが、優勝は97年から遠ざかった。昨年までは2年連続で初戦敗退。8人在籍する「マー君世代」を中心に、雪辱の思いを期してきた。「ここで勝つことが目標だった。今までやってきたことが報われました」。ヒーロー広本が、チームの思いを代弁した。【前田祐輔】