楽天田代富雄打撃コーチ(61)が30日、楽天を退団した。打撃不振の責任を取り、球団へ辞意を伝え、了承された。球団は草野大輔2軍打撃コーチ(38)との配置転換を要請。しかし、昨年慰留された際にした、星野仙一シニアアドバイザー(SA=68)との約束が果たせなくなると固辞した。草野2軍打撃コーチが昇格し、平石1軍打撃コーチとの2人体制となる。

 田代1軍打撃コーチが不振の責任を取った。安部井チーム統括本部長が大阪市内で会見を行い「昨日(29日)の試合後、田代コーチから辞任の申し出があった。慰留したが、辞意が揺るがなかった」と説明した。

 しかし、実際は球団から草野2軍打撃コーチとの配置転換を要請。チーム打率、得点ともにリーグ最下位とあり、打線のテコ入れのための提案がなされた。同コーチは30日の朝になって「身を引くことにした」と球団に辞意を申し入れた。

 田代コーチは昨年9月にも、最下位低迷の責任を取る形で辞意を表明した。だが、星野SAから「デーブを支えてほしい」と強く慰留されて翻意した。同コーチにとって、楽天での職務は大久保監督のサポートという思いが強い。今回の退団は、2軍降格への不満ではなく、配置転換では星野SAとの約束を果たせないという考えから、退団という結論に至った模様だ。

 12年に2軍打撃コーチに就任し、13年から1軍担当。銀次、岡島、枡田らを中心選手として育て上げた。また優勝の原動力となったマギー(現マーリンズ)も、スポンジボールを打たせる指導法で復活させ、初の日本一に大きく貢献した。

 同コーチはこの日の午前にコボスタ宮城を訪れ荷物整理を行い、居合わせた嶋、平石打撃コーチと別れのあいさつを交わした。「みんなが支えてくれた。選手のおかげで日本一の喜びを味わえた。感謝だよ」と涙を浮かべ、楽天を去った。