大谷でも勝てなかった。日本ハム大谷翔平投手(21)が、首位ソフトバンクとの直接対決3連戦の初戦で手痛い今季2敗目を喫した。中10日で満を持して先発。4回まで9奪三振と快調に飛ばしたが、5回に逆転を許し、同点に追いついた直後の7回にまさかの5失点。自己ワーストタイの被安打9、7失点で7回途中で降板した。首位とのゲーム差は今季最多の9・5。今日も敗れればソフトバンクにマジック点灯と逆転Vへ窮地に立たされた。

 決戦のマウンドに背を向けた。悪夢の7回。めった打ちを食らった大谷が、大一番の舞台から姿を消した。「あの回だけ、しっかりいければよかった」。中10日で照準を合わせてきた首位ソフトバンクとの直接対決。プロ入りワーストタイの7失点で、今季初めて同一リーグ相手に敗れた。悔しさを押し殺し、報道陣の質問に答えたが、足を止めることなくバスへと乗り込んだ。

 4回までは9奪三振無失点。最速は159キロ。「直球もそんなによくなかった」。結果とは裏腹に、本人は苦労の連続。それでも「0」を積み重ねた。この試合が持つ重さを、自分が初戦を託された意味を、誰よりも理解していた。193センチの大きな体で、強力打線に真っ向から立ち向かった。

 だが5回に今宮、鶴岡の下位打線で2点を失うと、同点の7回には無死満塁とピンチを背負い、再び今宮に決勝の2点適時打を許した。序盤から多投したフォークの落差、制球に限界がきていた。“手詰まり”となり、選択した128キロスライダーにバットを合わされた。「ちょこんと当てられた(安打)のも多かったけど、いいところに変化球がいっていないというのもありました」。被安打9も自己ワーストタイだった。

 今月の7、8日に予定されている2020年東京五輪の追加種目最終選考のヒアリング。野球競技復活へ向けた最後のプレゼンテーションの場に、大谷がビデオレターで出演し、大会組織委員へ訴えかけることになっている。いまやグラウンドを離れても「野球界の顔」。しかし、主役を期待された奇跡の逆転Vへのシナリオは、その第1歩で屈辱的に崩壊した。

 今日5日の同戦(ヤフオクドーム)に敗れれば、自力優勝の可能性が消滅し、ソフトバンクに優勝へのマジック「38」が点灯する。「切り替えて、やっていきたいです」。リベンジへの熱い思いは胸に秘めた。グラウンドで、やり返すしかない。【本間翼】

 ▼日本ハム大谷がソフトバンク戦で6回1/3を投げ被安打9、7失点で降板。1試合被安打9は5度目で自己ワーストタイ。5試合のうち4試合がソフトバンク戦。7失点は14年9月21日楽天戦(5回1/3で降板)と並び自己ワーストタイ。この日は7回に5安打を浴びたが、1イニング被安打5も、過去5試合あった1イニング被安打4を上回り自己ワースト。

 ▼日本ハム大谷が今季2敗目。前回登板までの今季唯一の黒星は交流戦の6月6日阪神戦で、パ・リーグとの対戦では、昨年9月3日楽天戦以来の黒星となった。また、この日の7失点で防御率も1・79から2・28に下がり、今季登板2試合目の4月4日オリックス戦以来の2点台となった。