「野球の日」に生を受けた“申し子”が、特別な一日に大きな放物線を描いた。日本ハム近藤健介捕手(22)が6回、右中間スタンドへバースデー弾をたたき込んだ。「打った瞬間、いい感触でした。気持ちよく1周回れました」。4万人の祝福を全身で受け止めた。

 “5番の自覚”が芽生えている。7月以降は、主砲・中田の後ろが定位置になった。「中田さんのマークがきつくならないように、自分が打たないと」。5番が低迷すれば、打線として機能しないことを心得ている。自身が4番を打った、昨年11月の21U・W杯の経験が貴重なものになっている。「(4番の)気持ちが感じられるようになった」。打順による役割や重圧の違いを学び、生かしている。

 右肩の状態が本調子ではなく、DHでの出場が続く。守備に就かない分、準備は難しいが、秘訣(ひけつ)は「入り込まないこと」だという。以前は打席に集中するあまり、それが力みや硬さにつながっていた。「打ちたい、打ちたいという思いが先行しないように」。ベンチにいるときは、あえてリラックスを心掛け、自然の流れで打席へと向かう。

 打率3割3分と、高い数字で安定。「(シーズン)3割を目標に、チームの勝利につながる打撃をしたい」と力を込める。お立ち台で、叫んだ。「首位もあきらめてません!」。ケーキの上のろうそくは消しても、パ・リーグの灯は燃やし続ける。【本間翼】