日本ハム大谷翔平投手(21)が「夏季限定」で投手と代打の二刀流となる可能性が出てきた。栗山監督は10日、当面は大谷の野手出場の機会を、前カード楽天3連戦で本塁打とサヨナラ打を放った代打に制限する見通しを明かした。今季は打率1割9分6厘と低調だが、代打では3割6分4厘と一変する利点と、チーム状況を加味しての戦略。今日11日西武戦(西武プリンスドーム)で、自身最多12勝目をかけて先発。その後は「代打の神様」として、ジョーカーになる。

 初々しい、恐怖の「代打の神様」としてラストチャンスの真夏の反攻に出る。大谷が野手としては時限措置で、代打起用が主になる公算が大きくなった。前カードの楽天戦で7日は1年目以来2年ぶり、プロ通算2本目の代打本塁打。2戦連続で代打の8日は、自身初のサヨナラ打を放った。開幕から低調だった打撃は確実に上向きだが、栗山監督はチーム事情を総合的に判断。見通しを示した。

 「DHでコンちゃん(近藤)を使わなかったら、おかしいよね。(大谷)翔平は、まだ(打率)1割台でしょ。悩ましいけれどね」

 変則的な「二刀流」が一時的に、採用されることになりそうだ。大谷は昨季から野手での出場を、DHに制限されてきた。送球など故障因子が多くなる守備機会を封印。発展途上の投手としての成長を阻害する危険を極力排除し、かつ「二刀流」を成立させる最善プランをとってきた。今季も開幕から同様に出場してきたが、快調な投手の反面、野手はスランプ。打率1割9分6厘と低空飛行が続いていた。

 今季、大ブレーク中の近藤が現在は右肩の不安などを訴えて捕手出場を見合わせ、DHで優先して出場中。3割3分とリーグ3位につける成長株と、大谷の打撃成績を比較。栗山監督は「誰が勝ちに貢献するか」と純粋に成績を判断材料とした。快打連発など3打席連続打点をマークし、出場機会は少ないが、3割6分4厘(11打数4安打)の大谷の代打として魅力を生かすため、当面の方向性を出したようだ。近藤の右肩復調までは、野手での持ち場になりそうだ。

 諦めずに追う首位ソフトバンクは優勝マジックが点灯し、9・5ゲーム差と背中は遠い。大谷は今日の西武戦で、自身シーズン最多を更新する12勝目をかけ先発。「勝って連勝できれば次につながると思う。しっかりゲームをつくること」と、反攻ムードを再演出するつもりだ。まずはエースの役目を果たし、一振りにかける。【高山通史】