広島打線よ、よみがえれ! 広島は、ヤクルト先発小川の前にわずか4安打に終わり、完封負けを喫した。天敵右腕に13年から13度目の対戦で早くも10勝目を献上した。0封負けは2試合連続で今季早くも12度目。今季100試合を終え、残り43試合となった。反発力が浮上の鍵となる。

 降雨の影響で試合開始が45分遅れた。雨は試合中盤まで降り続け、終盤にまた降り出した。天候と同じように広島打線のバットも湿り、スコアボードは0行進。真夏の夜にお寒い試合内容。ポンチョを着たファンでいつもより赤く染まったマツダスタジアムから最後まで温かい声援が送られたが、広島ナインは応えることができなかった。

 試合開始直後の失点から最後まで流れを手繰り寄せることはできなかった。大きく上げた左足をゆっくり下ろす独特なフォームから投げるヤクルト小川にまたもやられた。4回まで無安打。5回は無死から連打でチャンスを作るも、後続が倒れ走者すら進めなかった。8回も無死から連打で無死一、三塁としながら無得点。小川には13年から13度の対戦で1勝10敗となり2試合連続0封負けを喫した。

 この日、主軸の新井はスタメンから外れた。屋内練習場で行われた試合前練習では「もう少し練習して帰ります。僕」と直訴。迎コーチとともに約20分バットを振り続けた。「気になるところがあるから、そこを確認するためにね。すぐに直るところだと思っている」。巻き返しの準備を静かに整えた。

 緒方孝市監督(46)はシーズン中、試合前練習ではグラウンドを歩き回る。選手の調整を見ながらトレーナーや打撃投手など裏方とコミュニケーションを取っている。「ああいうときでないと話せない人もいる。監督となると選手の本音を知ることは難しい」。選手に近いスタッフからの情報でより正確な選手の調子や状態を把握することができる。この日新井の特打前には、緒方監督と迎コーチが身ぶり手ぶりで話し合う姿があった。

 今季100試合を消化し、47勝52敗1分け。上位3球団に離されつつあるが、誰も諦めていない。このまま終わるわけにはいかない。【前原淳】