阪神鳥谷敬内野手(34)が5年ぶり先頭打者アーチを放った。

 試合開始からわずか1分。神宮球場は、鳥谷の一撃でいきなり歓喜に沸いた。石山の3球目だった。内角低めの直球に、体をクルリ。矢のごとく放たれた打球は、右翼ポール際に突き刺さった。

 鳥谷 先頭打者として先に点を取れたのは良かった。しっかり先発に勝ちをつけられるようにと思っていたので。

 10年10月3日広島戦以来、実に5年ぶりとなる5本目の先頭打者アーチ。本塁打自体も7月3日DeNA戦以来、44日ぶりの5号だ。たった一振りで前日の大敗を消し去る大仕事に、指揮官も賛辞を送った。

 和田監督 昨日あんな形でゲームを落としている。そういう意味では「よーいドン」で鳥谷が1人で1点を取ってくれて、流れの上では非常に大きかった。

 この本塁打で通算707打点。球団歴代8位の桧山進次郎に並んだ。7回2死二塁の中前打で記録更新かと思われたが、二塁走者狩野が本塁タッチアウト。お楽しみは次戦へお預けとなった。

 4月上旬。鳥谷は、開幕1軍スタートした直後に2軍落ちした田上を酒の席に誘った。降格を告げられ失意の後輩に「必ずまた上に上がって来いよ」と言葉をかけていた。田上は「本当にうれしかった。あの言葉があるから頑張れる」と先輩を慕う。誰よりも熱い気持ちを持つキャプテンが、首位を走るチームを一枚岩にしている。

 明日18日からは宿敵巨人との一戦が始まる。「なんとか初戦を取れるようにしたい」。最後に勝利の美酒を味わうために。背番号1は先頭に立ち猛虎を先導し続ける。【梶本長之】

 ▼鳥谷の初回先頭打者本塁打は、10年10月3日広島戦(マツダスタジアム)で今井から打って以来、5年ぶり5本目。今季チームでは、西岡の5月14日ヤクルト戦(神宮)、上本の7月4日DeNA戦(横浜)に続き3本目。