西武牧田和久投手(30)が先発復帰戦を勝利で飾った。救援陣の不調で約1カ月間、臨時守護神を務めたが、7月26日の日本ハム戦以来の先発。得点圏に走者を置いても粘り強い投球で6回無失点に抑えた。打線からも秋山、中村の1発で援護をもらい、51日ぶりの6勝目を挙げた。チームも札幌ドームでの連敗を6で止めた。

 久しぶりに荒れていないマウンドに立った。「投げやすいな」。牧田は新鮮な思いに包まれ、決意を固めた。「初回から飛ばす」。直球は最速134キロと通常より2~3キロ増し。「大谷君が昨日投げた後だからスピードガンも出やすかったのでは?」と実感はなかったが、打者は差し込まれた。6回無死一、二塁では中田を潜水艦が急浮上するようにホップする直球をインハイに投じ、一飛に仕留めた。約1カ月ぶりの先発で93球すべてに魂を込め、6回無失点で完了した。

 開幕投手を務めた男が救援陣の不調で8月から守護神に回った。防御率は2点台を維持し、クオリティースタート(6回自責点3以内)は77%と高水準を誇っていた。だが受け入れた。

 牧田 首脳陣から抑えと伝えられた時も「プライドを持って開幕投手を務めました」と言った。でもチームが苦しい中、やるしかない。それに今年は原点に返ると最初に決めた。プロに入る時はどこでも投げるつもりだった。だったら今もそうすべきじゃないか。

 救援では日本通運の先輩、日本ハム武田久に「抑えは気持ちの切り替えが大事」とかつて言われた金言を思い起こし、臨んだ。8試合で1敗3セーブ。「1球の怖さをあらためて知った」。リリーフ陣が少し復調し、先発のコマが足りなくなり、異例の2度目の配置転換となった。

 岸、菊池で星を落とした窮地を救った。「チームが勝つために何をすべきか。次もしっかりと役割をまっとうしたい」。頼もしい言葉が浮き上がってきた。【広重竜太郎】