西武菊池雄星投手(24)が鬼門を突破し、ロッテとのAクラス攻防戦を2連勝に導いた。ローテを変更し、中9日で過去5戦4敗と未勝利のQVCマリンでの一戦に臨んだ。今季初完封こそならなかったが、球数も105球に抑え、8回6安打無失点の好投を見せた。4位ロッテとのゲーム差を1に広げ、西武は今日6日に3連戦3連勝を狙う。

 菊池は決戦での使命を自覚していた。7回2死一、二塁。代打サブローを力でねじ伏せる。5球連続の直球勝負。最後は150キロのクロスファイアを投じ、空振り三振で左拳を振り下ろした。「たまたまです」と満足感にも包まれない。8回の危機も脱出し、今季初完封へ勇んだが降板を告げられた。球数も105球と荒ぶる左腕としては「年イチ」という好ペース。「行かせて下さい」と直訴したが、かなわなかった。「7、8回をスッと抑えないと9回は行けない」と反省につなげたが、値打ち物の投球に変わりなかった。

 鬼門を回避し、鬼門をぶち破った。本来のローテ順は2日のソフトバンク戦。だが入団以来0勝7敗の相手よりも首脳陣は、今季1勝2敗ながらも防御率2・61と抑えているロッテを選択した。1日の練習後の時点では変更が公になっておらず、いつも通りに取材を受け「いつかはソフトバンクに勝ちたい。それが次になればいい」と思わせぶりに演じた。後日、報道陣から役者ぶりを振られ「心苦しかったですよ~」と苦笑いした。

 もっとも敵地QVCマリンでは5戦4敗と分がすこぶる悪かった。「QVCマリンに苦手意識はない。ソフトバンクとの相性もあり、ずらしてもらったし、今日は何とか勝ちたかった」。鬼門などまるでウソかのような快投だった。

 今季8勝目で13年9勝の自己最多更新も見えてきた。「(登板は)残り3試合だと思う。3つ勝てればチームに貢献できる」。頼もしき左腕に二言はない。【広重竜太郎】