ヤクルトが14年ぶり7度目のリーグ優勝を飾った。141試合目でつかんだ優勝は、死闘だった。1-1で迎えた延長11回2死一、三塁、雄平が右翼線に運ぶ劇的サヨナラ打で決着がついた。

 神宮で決めた。本拠地での優勝決定は97年以来、実に18年ぶりだ。170センチの小柄な真中監督が、涙で目を真っ赤にしながら歓喜の輪に加わった。神宮の夜空に向かって7度胴上げで舞った。

 真中満監督(44)が、小川前監督からバトンを引き継ぎ就任1年目。2年連続最下位に沈んだチームを再建したのは、ヤクルト一筋の新人監督だった。新人監督の優勝は今年パ・リーグVのソフトバンク工藤監督に次いで19人目。ヤクルトでは初の快挙となった。

 有言実行。昨年10月の就任会見では「チーム一丸となって、必ずやいい方向に持っていけると確信しています。1年目とは思っていない。覚悟して勝負したい。もちろん優勝を目指す」。3年契約ながら1年勝負を強調していたが1年後に見事に巨人、阪神との混セから抜け出してみせた。

 道のりは平たんではなかった。シーズン序盤。主砲バレンティンが今季初出場となった4月24日の巨人戦(神宮)で肉離れを起こし離脱。シーズンの大半を棒に振った。

 6月21日には最下位だった。どん底からはい上がったのは若手の成長だ。7月8日、巨人戦で初めて組んだ2番川端、3番山田、4番畠山の打線がハマった。昨季、最多安打のタイトルを獲得した山田は「トリプル3」を確実にする成長を遂げた。若きバットマンたちに引っ張られ、山田(本塁打、出塁率、盗塁)、川端(打率、安打)、畠山(打点)でセの打撃6部門を独占。同チーム3人での打率、本塁打、打点の3冠となれば史上初となる快挙だ。

 若いツバメの奮闘にベテランも夏場すぎに加わる。7月には3度の右肘靱帯(じんたい)再建術を経て、館山が1019日ぶりの勝利で復活した。9月中旬にはバレンティンが復帰。破壊力を増した打線が、一気に巨人、阪神とのマッチレースを突き抜けた。

 チームは10月14日から始まるクライマックスシリーズ第2ステージで、第1ステージ勝者を待つ。まだリーグ優勝の第一関門を突破したばかりだが、狙うは14年ぶりの日本一だ。