来秋ドラフトの目玉、最速156キロ右腕の創価大・田中正義投手(3年=創価)が、開幕6連勝で今春からの連続無失点イニングを50回に伸ばした。直球の最速は154キロをマークし、流通経大打線を5回まで無安打。3安打5奪三振の完封で先勝し、2季ぶりの優勝に王手をかけた。

 田中が危なげなくスコアボードにゼロを並べ続けた。9回まで球威は落ちることなく、最後の打者を150キロの直球で遊飛に打ち取って111球3安打完封。今秋46イニング無失点で、防御率0・00のまま開幕6連勝を飾った右腕は「1人で投げきろうと思っていたし、1点もやらないつもりで投げた」と胸を張った。

 不調でも5回まで無安打に抑えた。中12日での登板で「初回は緊張して先頭打者に四球を出したし、調子も良くなかった」と反省したが、自慢の直球を中心に抑え込んだ。後半は変化球を増やして凡打の山を築いた。「調子が悪くても、その日に合った投球ができるようになった。三振を取るところ、打たせて取るところを、状況に応じて考えながら投げられている」と手応えを口にした。

 完投するための「モデルチェンジ」に成功した。2ストライクを取ってからギアを上げ、2回にはこの日最速の154キロで空振り三振を奪った。「9回を投げなきゃいけないので、全部150キロを出していたら持たない。大事な場面で真っすぐを速く見せることを考えている」。力に頼って右肘を痛めた昨年からの進化を見せつけた。

 今春からリーグ戦12連勝で自身の連続無失点イニングも50回まで伸ばした。9月19日の共栄大戦ではノーヒットノーランを達成、21年連続のリーグ優勝にも王手をかけたが「成績だけ見たらいいけど、特別に調子がいいということはない」と言った。巧みな投球術を身につけた田中が、連勝街道を突き進む。【鹿野雄太】

 ◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小1から投手として野球を始める。創価高1年秋に外野手転向。創価大で投手に再転向。今春リーグ戦6勝0敗、防御率0・40で最多勝利と最優秀防御率。大学日本代表として今夏のユニバーシアード競技大会で初の金メダルに貢献。家族は両親、兄、姉、妹。186センチ、89キロ。右投げ右打ち。