巨人高橋由伸外野手兼任コーチ(40)が新監督の最有力候補であることが19日、分かった。原辰徳監督(57)が東京・大手町の読売新聞東京本社を訪れ、渡辺恒雄最高顧問(89)、白石興二郎オーナー(69)と会談し、今季限りの退任が正式に決まった。後任についても意見交換し、求める資質として「原野球の継承」「チームに新風を吹かせる」などが挙がった。これに合致する高橋由に一本化し、速やかに交渉に乗り出すことになりそうだ。

 高橋由は、原監督の元で長くプレーし、ともに戦ってきた。今季から務める兼任コーチとしての的確な助言はもちろん、誠実な人柄を尊敬する選手、スタッフが非常に多い。何より40歳の若さもあり、チームに息吹を吹き込んでくれる存在といっていい。

 球団は新監督候補の条件に「原野球の継承」と「新しい風」をキーワードに挙げている。加えて大きな基準として「現状の課題をクリアにしてくれる人」を設定している。今季のチーム打率は2割4分3厘で、リーグワーストに終わった。攻撃力の向上は不可欠で、この点からも高橋由は適任といえる。

 この日も原監督が渡辺最高顧問、白石オーナーに今季限りの辞意を伝えた際、後任監督についての話題にも及んだ。会合の後に行われた会見で、原監督は「いい形で引き継ぐことが大切」と答えた。白石オーナーも「原野球を継承してくれる人、新しい風を吹き込んでくれる人、原野球を継承し発展させるという強い意志のもと、努力で実行してくれる人でないと、と考えています。この際、思い切ってギアチェンジする」などと後任について語った。

 OBの江川卓氏(60)も候補に挙がっていたが、高橋由に一本化して速やかに交渉に入ることになりそうだ。兼任コーチ1年目の今季は打率2割7分8厘、5本塁打、21打点。代打の打率は3割9分5厘と、勝負強さを見せつけている。監督に就任する場合でも、選手兼任になるか、引退して専任監督になるか。クリアすべき課題はある。

 22日にはドラフト会議が行われるが、原監督は出席しない。白石オーナーは「できれば間に合わせたいとは思うんだけど。確約はできない。できるだけ速やかに。ファンの皆さんも納得する『この人なら』という形で決めたい。非公式な形で打診を進めたい」と説明した。高橋由は「何も聞いていないので、今は選手としてプレーすることしか考えていません」と話した。高橋由が監督に就任すれば、「新しい風」の象徴になる。

 ◆高橋由伸(たかはし・よしのぶ)1975年(昭50)4月3日、千葉市生まれ。桐蔭学園では1年からレギュラー。慶大では東京6大学リーグ新記録の通算23本塁打を放った。97年ドラフトで巨人を逆指名して1位入団。新人王は川上(中日)に奪われたが、1年目の98年に打率3割、新人初の満塁本塁打2本、勝利打点13度を記録。打率3割を7度マークしている。03年の11打数連続安打、07年の先頭打者本塁打シーズン9本はプロ野球記録。今季は打撃コーチを兼任した。04年アテネ五輪出場。ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞7度。180センチ、87キロ、右投げ左打ち。今季年俸1億5000万円(推定)。