期待の大型左腕が、北海道へやってくる。「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」は22日、都内で開催され、日本ハムは外れ外れの1位で明大・上原健太投手(4年=広陵)の交渉権を獲得した。最速151キロを誇る大学球界屈指の長身本格派左腕。サウスポー不足のチームにとって救世主となれる逸材は、1年目から1軍で活躍することを誓った。

 待ちに待った瞬間に、上原の笑みがはじけた。東京・府中の明大野球部合宿所の食堂。ドタバタの末に阪神から1位指名された高山の左隣に座ってテレビ中継を見守っていた。吉報は、ドラフト会議開始から50分後に訪れた。「どこに指名していただいても、精いっぱい頑張ると決めていました。日本ハムファイターズに指名していただき、うれしく思います。(ドラフト会議は)楽しみだなという気持ちはありながら、不安だったので少しホッとしています」。栄えある1位指名の大トリ。外れ外れの指名でも明大・善波監督と握手を交わし、格別の喜びに浸った。

 チームのウイークポイントを埋められる逸材だ。190センチの長身から最速151キロの直球を投げ下ろすスタイルはスケール感たっぷり。迫力十分の力強い真っすぐに加えて変化球も多彩。カーブ、スライダー、フォーク、シュート、スクリューなど器用に投げ分け、打者を幻惑する。東京6大学リーグでは1年春から登板。先発、中継ぎともこなしながら通算14勝。慢性的な左腕不足に悩むチームにとって、救世主となれる可能性を大いに秘める。

 心強い先輩がチームにはいる。昨年のドラフト1位有原は、母校・広陵で1学年上の先輩。2年夏はエース有原の控え投手として甲子園に出場。出番はなかったが、チームを引っぱる先輩の後ろ姿は常に見てきた。また、吉川も高校の5学年上の先輩。ともに広島県外から野球留学で名門に飛び込んだ本格派左腕と共通点も多い。明大の2学年先輩となる岡も在籍する。「先輩方と一緒に頑張っていきたいと思います」。早くも心は、頼れる存在が多くいる日本ハムの一員だ。

 強い気持ちでルーキーイヤーから活躍を目指す。チームの印象は「投手力がすごい高い」。覚悟する激しい競争に打ち勝つつもりだ。「自分の実力を磨いて、早く1軍で登板できるように頑張りたいです。気持ちを前面に出して思い切り頑張りたいです」と、力を込めた。今日23日には、栗山監督が指名あいさつへ出向くことも決まった。背負う期待の大きい、沖縄出身の将来性豊かな大型左腕。高く評価されている潜在能力を新たなステージの舞台、北海道で開花させる。

 栗山監督のコメント 外れ、外れになったが縁がある。左の大型投手で、あれだけ変化球で腕を振れるのは見たことない。ドラフト上位の大学生の候補の中でも、まだ伸びしろがある。こちらが欲しい何人かの選手の1人で、すごくうれしい。

 ◆球界の長身左腕 日本人投手の190センチ以上は193センチの巨人松本竜、190センチのロッテ木村の2人。日本ハムでは現在、181センチの須永が最長身。外国人では198センチ巨人ポレダが今季最も高かった。

<上原健太(うえはら・けんた)アラカルト>

 ◆生まれ 1994年(平6)3月29日、沖縄・うるま市出身。中学まで沖縄で過ごした。

 ◆球歴 うるま天願小では天願フェニックスに所属し、うるまあげな中時代はうるまボーイズに在籍。広陵高では有原の1学年下で2年夏の甲子園で背番号18でメンバー入り。登板機会はなく2回戦敗退。

 ◆大学実績 明大ではリーグ戦通算56試合、14勝8敗、防御率1・83(19日現在)。今夏の大学日本代表メンバー入り。

 ◆武器 190センチ、85キロの長身から繰り出す最速151キロの直球と、カーブ、スライダー、フォーク、スクリューなど変化球も多彩。

 ◆投打 左投げ左打ち。