パフォーマンスの継承は任せろ。DeNAから1位指名を受けた駒大・今永昇太投手(4年=北筑)が、早くもゲッツを連発した。アレックス・ラミレス新監督(41)の持ちネタを完璧に自分のモノにしてみせた。大学球界屈指の左腕は、ファンサービスにも力を入れ、横浜スタジアムに幕府を開く?

 指名を待つ間、硬い表情だった今永が、みるみる変わった。カメラマンの求めに応じ、ゲッツのポーズを繰り返す。この日だけで30回以上のゲッツを繰り出すと「これから、もっと似合うようになれるよう頑張ります」と、パフォーマンスを磨くことを宣言した。

 実はパフォーマンスには自信があった。駒大でもむちゃぶりをよくされるキャラクターで、グラウンドで日々、鍛えられているという。「ネタのクオリティーは別として、数打てば当たる」と、滑る恐怖に打ち勝つ度胸がある。この日も神奈川のイメージを聞かれ「鎌倉幕府ですかね。それしか思い浮かびません」と珍回答で笑わせた。

 ラミレス監督のパフォーマンスを継承しようとしているのは、ファンへの感謝があるからだ。今年の春、左肩を痛めてリーグ戦で投げられなかった。そこから復帰し「大学野球ファンがいなければ、今の僕はいない」と強く感じた。だからラミレス監督に共感できた。「ファンあっての野球。そういう精神を受け継ぎたい」と言い切った。

 もちろん投手としての実力も磨く。「ウイニングショットを鍛えたい」と、空振りが取れる球の精度を上げていく構え。ラミレス監督にも「右の長距離打者との対戦は嫌なので、カウントに応じて、どんなことを考えてたり、どんな球を狙ってるのか聞いてみたい」とパフォーマンスだけでなく、野球の教えも請いたい考えを示した。

 プロでの目標については「まずはしっかり1軍。初登板できたら、1勝を目標にしたい」と言う。その先にリーグ制覇、日本一が待っている。くしくもこの日、頭に思い浮かんだ鎌倉幕府のように。神奈川から日本を統一しにいく。【竹内智信】