「島根のジャイアン」として甲子園を沸かせたソフトバンクの育成選手・白根尚貴内野手(22)が、自ら退団を申し入れ10日に静岡・草薙で行われる「12球団トライアウト」を受験する。球団は来季も育成として契約する方向だったが、本人の希望を尊重。異例の挑戦となった。

 三笠球団統括本部副本部長は「ルール上、現在は自由契約選手。トライアウト受験を希望してきましたので」と説明した。11年ドラフト4位で入団した白根は、今季から育成契約となっていた。10月31日に自由契約選手として公示された。球団は5年目となる来季も育成選手として契約する方針だったが、10月末に白根が退団とトライアウト受験を申し入れていた。

 白根は「ホークスに戻ることはありません。来年5年目になる。残って育成のままで終わってしまうのであれば、トライアウトを受けた方が後悔はない」と強い決意を語った。

 3軍制のソフトバンクには現在、白根を含め20人の育成選手がいる。来季支配下になれるのは2~3人と狭き門だ。今季は2軍戦で59試合に出場し、打率2割7分4厘。3軍では52試合で打率3割3分5厘と自信をつけていた。昨年オフ、育成だった亀沢が自由契約となり中日のテストを受け支配下契約。1軍で活躍した。白根も同じ夢を描き、退路を断った。

 ◆白根尚貴(しらね・なおき)1993年(平5)4月28日、島根県生まれ。開星では1年秋からエース。甲子園は春1度、夏2度出場。高校通算40本塁打。11年ドラフト4位で内野手としてソフトバンクに入団。1軍出場はなく、今年から育成選手。背番号123。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。

 ◆白根のここまで 野手として入団した12年の開幕前に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術を受け、1年間リハビリ。104キロあった体重は85キロと激減し「ジャイアン」を卒業。2軍戦は2年目に2試合、3年目に7試合に出場。育成契約となった今季は出場機会を飛躍的に伸ばした。