金本新監督も安心するに違いない。今季、海外FA権を取得していた阪神西岡剛内野手(31)が6日、甲子園のクラブハウスを訪れ、来季の残留意思を初めて公言した。5月に右肘の重傷を負い、シーズン終盤に1軍復帰後も満足に投げられない状態だった。気になる右肘の回復を認め、来春キャンプも全開で臨む覚悟。志願する二塁挑戦へ、上本や大和とプライドをかけて戦う。

 真価を問われる1年になるのは西岡自身がもっとも分かっている。所用のため、甲子園のクラブハウスを訪問。海外FA権を取得している立場だが、報道陣に「来年、阪神のユニホームを着たいと伝えている」とキッパリ言う。今オフ初めて、公の場で来季の残留意思を表明。不退転の決意でタテジマ4年目の勝負に臨む。

 14年シーズンは開幕直後、守備中の激突骨折で長期離脱。出直すはずだった今季も5月に右肘を痛めて、長く球場から姿を消していた。リハビリ中は「引退」も頭にちらついたという。「ケガをして最初はやめることも考えた」と吐露したほどだ。

 金本新体制が発足し、西岡にとっても、再々出発のシーズンになる。悔いを残さない。指揮官が就任早々、実は自らの胸の内を伝えていた。「二塁挑戦」。金本監督は基本的に守りたいポジションで勝負させるスタンスを示す。来春キャンプでは上本、大和と激しく火花を散らすバトルになる。

 この日も「監督が言われたポジションで行くというのを伝えているので」と多くを語らない。いまはただ勝負に備えてじっくり調整を重ねるだけだ。今季終盤に代打要員として1軍復帰したが、本格的な送球を行っていなかった。右肘の回復が遅れ、不安視されているが「全然、大丈夫です。2月1日に元気な姿を見せられるように」と話す。激戦の火ぶたが切って落とされる2・1全開を目指す。

 実は、西岡のプレースタイルこそ、金本野球に合致する。走塁に対する意識の高さを指揮官も絶賛する。

 「西岡と福留の走塁は天下一品や。『何かやったろう』とか『どうにか行ったろう』というのが見える。西岡にしても(塁上で)ずっと、チョロチョロチョロチョロ…。なかなかできないよ、あれ。たいして盗塁せんけど(笑い)。相手は速い、盗塁するというイメージを持っている。それをちゃんと利用するからね」

 西岡もロッテで盗塁王を獲得した05、06年の快足復活をテーマに、リハビリを重ねてきた。金本監督、西岡の両者とも、目指す場所にまったく違いはない。スピードスターがよみがえれば、相手にとって脅威の武器になる。【酒井俊作】

<西岡の阪神移籍後>

 ◆13年 開幕戦3月29日ヤクルト戦(神宮)で3安打2打点の好発進。シーズン打率2割9分はセ・リーグ7位。打点を挙げればチームは26勝5敗1分け。二塁手のベストナインに輝いた。

 ◆14年 3月30日巨人戦(東京ドーム)の守備中、福留と激突。左肩脱臼などで離脱した。6月下旬に復帰も、背筋痛で再び抹消。9月中旬に昇格し、ソフトバンクとの日本シリーズにも出場。第5戦9回の走塁が守備妨害を取られ最後の打者となった。閉幕後、右肘遊離軟骨の除去手術。

 ◆15年 開幕戦3月27日中日戦(京セラドーム大阪)に「3番三塁」で先発出場。以後全試合に出場していたが、5月22日DeNA戦(横浜)試合中、右肘に違和感を覚え交代。「右肘内側側副靱帯(じんたい)損傷」で戦列を離れた。9月25日広島戦(マツダスタジアム)で1軍に戻り、以後代打で6試合。