40発打者に育て上げる-。阪神金本知憲監督(47)が7日、初めて鳴尾浜での秋季キャンプを視察。来季3年目を迎える横田慎太郎外野手(20)への大砲育成プランが始動した。阪神では05年に自身が達成したのを最後に40本塁打以上放った日本人打者は出ていない。スタンスを狭くさせるなど具体的なアドバイスを送った。

 その潜在能力をあらためて証明する1発だった。全体練習終了後の特打。横田が放った打球は、鳴尾浜球場のバックスクリーン最上部をかすめて、越えていった。スタンドから拍手が起こった。見ほれるばかりの推定飛距離140メートル。掛布2軍監督、そしてこの日は金本監督も特大弾を目に焼き付けた。初めて鳴尾浜での秋季キャンプを視察した指揮官が、最も視線を注いだのが横田だった。

 金本監督 体つきから見ての通り、想像通りの打球が飛んでいると思います。振る力と飛距離を持っている。それを生かすようなね。小さくまとめないで。3年かかって(打率)3割(本塁打)10本にするよりも、5~6年かけて3割40本というのをね。そういうつもりで育てていきたいね。

 体つきを見れば、規格外の身体能力がうかがえる。そんなダイヤの原石をどう育てるか。金本監督は時間はかかっても、超のつく一流へと磨きあげるプランを描いた。球団史上では藤村、田淵、掛布、そして金本と4人しかいない日本人の40発打者。この日は横田の打撃を2人の40本塁打達成者が見守り、その育成プランを語り合っていた。虎党にとって、何とも夢のふくらむ光景だった。

 もちろん、欠点がないわけではない。荒削りだからこそ、長期的なプランが必要だという。

 金本監督 やっぱりスタンスの広さですね。広すぎて顔がぶれてしまうことですかね。あれだと、どうしても速い球に差し込まれて、変化球に泳ぐ。どのバッターでも入り口はそうですけど、修正していかないとね。あとはテークバックで右肩が下がること。それが修正できれば。あとは実戦で経験を積めば、かなりおもしろい選手になります。

 指揮官は予想ではなく「なります」と断言した。それだけ、その素材に確信を持ったということだろう。

 横田 ステップの幅を修正するよう言われました。最初は物足りなかったんですが、打球も違った。これをずっとオフの間、やりたい。安芸に行けなくて悔しかったんですが、きょう少しでもいいところを見せられたらと思ってました。

 高卒2年目のスラッガーは神妙な表情でこう言った。伝説の主砲、掛布、金本に続く40発打者育成プランがスタートした。【鈴木忠平】