無傷の4連勝で首位突破を決めた。侍ジャパンが宿敵米国を打線で圧倒。1点を追う6回に5番筒香嘉智外野手(23)の中前適時打で追い付くと、なお1死一、二塁で中田翔内野手(26)が今大会2号となる勝ち越し3ラン。3戦連続で決勝打を放った。7回には筒香のこの日3本目の適時打、そして松田宣浩内野手(32)の満塁弾でダメ押し。今日15日のベネズエラ戦の結果に関係なく、B組1位での決勝トーナメント進出が確定した。

 大歓声を受けながら白球は夜空に舞い上がり、左中間に突き刺さった。勝ち越し2号3ラン。試合を決めたのは、またも中田だった。手をたたき大喜びで二塁ベースを回った。

 筒香の中前適時打でようやく追いついた6回、直後の1死一、二塁。2ボールから左腕イブランドの内角直球を逃さなかった。「1、2球内角へきつかったので、3球目は勝手に甘いところに来るなと。きれいな回転ではないので大振りしたらやられる」と、コンパクトにとらえた。

 台湾での3試合で11打点。すべて決勝打を放つ神懸かり的な活躍を続けているが、この日は守りも光った。4回無死一塁から、鋭いゴロを捕球し二塁へ。一-遊-一と併殺を完成させ、苦しむ菅野を救った。

 前日13日は休日返上で練習参加。「僕もほかの選手に助けてもらっている。同じユニホームを着て、日本じゃない場所で戦っている。ひとつになってね」とチーム一丸で、お互いが助け合う必要性を話していた。

 26歳だが、若手主体の日本ハムではリーダー格だ。今年6月、広島との故郷での交流戦の時だった。広島市内の実家へ大谷、有原ら若手を中心に十数人を試合後に招待。母香織さんにお願いして、手料理を用意してもらい振る舞った。ほぼ毎年行う恒例行事の「手弁当」での決起集会。「みんな、オカンのうまいモン食ってや」と、料理を取り分ける気遣いも見せた。

 侍でも筒香が中田を慕って同じく休日返上を申し出るなど、中心選手として存在感を出している。この日は土曜ということもあり日本から大勢のファンが駆けつけた。1万437人。地元ファンも含め約9割の声援が侍を後押しした。1位突破したことで、準々決勝の舞台は台北に決定。宿舎から移動が2時間半かかる台中での試合を回避できたことも4強入りへ大きな追い風だ。今大会の得点圏打率は8割3分3厘まで上昇した中田が、世界一へ向け、6番で仁王立ちし続ける。【石橋隆雄】

 ▼中田が6回に勝ち越し3ラン。メキシコ戦のサヨナラ打、ドミニカ共和国戦の勝ち越し打に次いで3試合連続で決勝打を放った。今大会の中田は走者なしの場面で6打数1安打だが、走者を置いた場面では9打数7安打と勝負強い。プロ参加後の五輪、WBC、プレミア12で3試合連続V打の日本選手は、00年シドニー五輪で3試合連続勝ち越し打の鈴木郁洋(中日)以来2人目。大会通算11打点は04年アテネ五輪の福留孝介(中日=10打点)を抜く1大会最多打点。