5冠馬シンザンに、来季の“5冠”を誓った。日本ハム大谷翔平投手(21)が27日、応援大使を務める北海道・浦河町を訪問した。地元ファンや小学生と交流したほか、馬産地ということもあり乗馬も体験。昭和の名馬シンザンの銅像前で記念撮影も行い、来季は勝ち数、防御率、勝率、奪三振の投手4冠に、優勝を加えた“5冠”へ刺激を受けた。

 曇り空から突如、大粒のひょうが降り出した。パ・リーグ投手3冠の大谷が、5冠馬シンザンの銅像に到着した瞬間だった。強風が吹き、わずか3分ほどの間にジャンパーがビショビショになった。「洗礼を受けました」。厳しく迎えられた。2冠足りないことを、「まだまだだな」と言われているかのように…。

 大谷 (タイトルは)取れれば取っただけいいと思う。それだけのいい選手がいれば、優勝は間違いないと思うので。

 来季は、楽天則本が今季獲得した最多奪三振のタイトルを奪い、投手4冠に加え、チームの優勝という“5冠”の活躍をすることを誓った。

 皐月賞、ダービー、菊花賞のクラシック3冠を達成したシンザンも、天皇賞・秋、有馬記念を制したのは古馬になってから。大谷も4年目の来季、同じようにビクトリーロードを歩む。

 国際大会「プレミア12」でも活躍し、いまや日本球界を代表する投手に成長したが、成績を残すために重要なのはケガで戦列を離れないこと。今年もふくらはぎがつったり、血マメがつぶれたりしてマウンドを降りた試合がある。競馬界にも「無事之名馬」の言葉が存在する。「それ(ケガしないこと)が一番だと思う。でもそれが難しいんですよね」。ケガをしないための体づくりが、今オフのテーマにもなる。

 乗馬体験で実際にサラブレッドにまたがり「きれいですね。かわいかった」と白い歯を見せた。地元ファンとも交流し「楽しんでもらえたならいいですね。僕らが(楽しむことが)メーンじゃないので」。熱烈な歓迎を受け、人口約1万3000人の町に夢のひとときを提供したが、大谷自身も、伝説の名馬から刺激をもらって帰路に就いた。【本間翼】

 ◆シンザン 戦後の競馬ブームの立役者で、東京五輪の64年皐月賞、ダービー、菊花賞の3冠達成は史上2頭目で、翌年の天皇賞・秋、有馬記念も含め史上初の5冠を達成。デビューから19戦連続連対は現在も残るJRA記録。96年に死ぬ。馬齢36歳で、人間なら100歳を超える大往生だった。