阪神藤川球児投手(35=四国IL・高知)に1日、守護神復帰プランが浮上した。兵庫県内でゴルフコンペに参加した香田勲男投手コーチ(50)が明かした。藤川については金本監督が来季の先発転向プランを明かし、本人も同意しているが、メジャー移籍も視野に入れる呉昇桓投手(33)が退団した場合は構想をシャッフルする可能性も出てきた。

 香田投手コーチは困惑しきっていた。阪神と呉昇桓の残留交渉が長期化し、ついに先月末が期限の保留選手名簿から外れた。メジャー挑戦も希望する右腕は現状フリーエージェントで、いよいよ退団に至る可能性も出てきた。「いないと困るのよ。何かいい手ないかな?」。守護神白紙に募る危機感。「最悪の危機管理」を想定し、金本阪神の目玉でもある藤川先発構想のドンデン返しも検討せざるを得なくなった。

 香田コーチ (藤川先発は)スンファンありき。ありきでの先発です。(不在なら)球児とも場合によっては話をしないといけない。(抑えを)やってくれるとは思うんだけど…。

 藤川には先月26日に訪れた鳴尾浜で、「先発で準備してほしい」と伝えたばかり。だがその後5日間で呉昇桓が保留選手名簿を外れ、情勢は変わった。退団となればやはり日米222セーブを誇る右腕が頼りになる。藤川、4年ぶりの守護神復帰。その時は藤川ともう1度会談し、話を聞かないといけない。だが、抑えは理想の選択肢ではなかった。

 香田コーチ 彼の肘に負担のかかることはさせたくない。手術して2年だけど(状態に)クエスチョンマークがつくところもある。(先発で)間隔を空けて投げた方がいいんじゃないかと思っているんですが…。

 先発転向計画は、カブス時代の13年6月にトミー・ジョン手術を受けた影響を考慮したものと初めて明かした。だが呉昇桓不在を想定した現投手陣で、他に誰が抑えを務められるのか?

 香田コーチ 歳内ねえ。まだ彼には荷が重いというか…。(福原は)経験があるし、忍が適任ということなんだろうけど(来季39歳の年齢的にも)あんまり負担もかけたくないしね。

 いずれにしても、すべては呉昇桓次第。阪神は今後も粘り強く交渉する方針だが予断は許さない。今月上旬に開催される大リーグのウインターミーティングで、一気に事態が動く可能性もある。

 香田コーチ なんとかね。残ってくれることを信じていますよ。願うところです。誰か、会いに行って(動向を)調査してきてよ。

 願いは切実だ。その去就が藤川の役割にも影響を及ぼし、来季布陣も大きく変える。順風に船出した金本阪神に、初めて難題が発生した。【松井清員】