阪神と来季残留交渉中で不法賭博問題に揺れる呉昇桓投手(33)が9日、ソウル中央地検に召喚され、被疑者として5時間近く、取り調べを受けたと母国韓国メディアが一斉に報じた。海外のカジノで暴力団関係者から巨額の金を借りた疑いがあり、聯合ニュースは呉昇桓が疑惑の一部を認めたと伝えた。起訴されれば阪神は交渉を打ち切る方針を示し、極めて厳しい情勢になってきた。

 2年契約を終えて来季慰留交渉中だった呉昇桓の賭博容疑問題に揺れる阪神に再びショッキングなニュースが飛び込んできた。この日、海外での不法賭博事件の容疑者としてソウル中央地検に出頭。取り調べを受けて、容疑の一部を認めたと韓国メディアが報じた。

 報道によれば、午前7時ごろに呉昇桓が弁護士とともにソウル中央地検に出頭し、5時間近く取り調べを受けたという。「マカオのカジノに行ったのは事実だが、観光レベルだったし、常習賭博をしたのではない」と呉昇桓が述べたという、検察側のコメントも掲載。数億ウォン(数千万円)のチップを借りたが、実際の賭博の回数と金額は多くないと主張しているという。

 これを受けて阪神四藤球団社長は「(呉昇桓側から)報告はありましたけど、取り調べを受けましたということなんで。それだけですね」と、詳細は知らされていないことを明かした。その上で「うちのスタンスは基本、シロであれば問題ないというスタンス。全く法律違反していないと」と、潔白が証明されれば、契約合意に向け交渉を再び進める方針を示した。

 ただ、時間的な制約がネックになる。検察は同じ容疑で韓国・サムスンを放出された林昌勇投手(39=元ヤクルト)と合わせて近日中に処罰するか方向性を定めるとも報じられた。一方で「3、4月までかかる」と予測する韓国筋もあり、有罪か、無罪か確定するまで先行きは不透明。来季戦力編成を急ぐ阪神は現実的には、期限を設け、判断する必要がある。呉昇桓側が起訴された時点で判断することはあるか、と問われた同球団社長はこう話した。

 「判断する必要はあると思います。刑が確定していないとしてもね。こちらの都合もある。リスクを負うことはできない。(新外国人投手の)調査は始めてます。いつでも動ける状態」

 複数の韓国メディアは検察が在宅起訴するか検討すると伝えており、その事実が確認された時点で呉昇桓との交渉を打ち切り、新外国人投手の獲得に向かう。双方とも交渉再開、合意の可能性を探っているが、徐々に決別へと傾いている。

<呉昇桓を巡る動き>

 ◆11月30日 阪神は呉昇桓を保留選手名簿から外したことを発表。交渉がまとまらなかったための措置。また、韓国ではサムスンが保留選手名簿から林昌勇を外した。阪神の高野球団本部長は呉昇桓との関連について「代理人から賭博に対する行為はないと聞いている」と話した。

 ◆12月1日 阪神香田コーチが、呉昇桓が退団した場合、藤川の守護神復帰プランを示した。

 ◆同2日 呉昇桓が自由契約選手として公示される。藤川はストッパー復帰案について「やれと言われればやります」と語った。

 ◆同7日 韓国メディアは海外での不法賭博容疑が検察に召喚すると報道。カジノで暴力団関係者から巨額の資金を借りた疑いがあると報じるところもあった。韓国聯合ニュースは、呉昇桓の法律代理人が用意した声明を報道した。「検察に出席すれば、一点の疑いなく、事実通りに述べて、すべてに協力する」と報じた。

 ◆同8日 阪神は呉昇桓について、午前中から球団幹部が集まり、緊急会議。球団幹部は、交渉打ち切りの可能性に言及した。