海外FA権を行使していたソフトバンク松田宣浩内野手(32)が24日、ヤフオクドームで会見を行い、残留を表明した。4年総額16億円プラス出来高の大型契約で合意。メジャー球団との交渉では三塁固定の確約がない一方で、王貞治球団会長(75)に電話で慰留され意思を固めた。プロ11年目となる来季以降も「熱男」として、チームが目指すV10の黄金時代を築く。

 海外FA宣言から1カ月半で「熱男」が選んだのは、ホークス愛を貫くことだった。松田は球団カラーの黄色のネクタイ姿で会見に臨み、吹っ切れた笑顔で来季への思いを口にした。

 「ホークスに残ると決めたので、3、4、5連覇を目指してすごいチームにしたい。ケガなく4年間全試合に出続けるのが目標。今年、熱男でやれたことは僕の野球人生で一番大きかった。スローガンは変わるかもしれないが、来年はもっと熱男でいきたい」

 パドレスが2年4億円とみられるオファーを出したほか、ホワイトソックス、カージナルスなど計6球団から具体的な条件提示があった。松田も日に日にメジャーへと気持ちが傾いた。それでも、20日にもらった王球団会長からの電話で一転。10連覇を狙うホークスへの残留を決意した。

 「行く覚悟もしたが、会長から『俺は来年また一緒にやろうと思っている』と言われ、プロ入りの頃からお世話になってきた方に『メジャーに行きます』とは言えなかった」

 守備位置もネックだった。メジャー各球団からは三塁だけでなく二塁、遊撃も守れる守備力を評価された。それが「日本でもやったことがないのにメジャーでできるのか。挑戦とは思えなかった。打撃にも影響すると思った」。三塁へのこだわりが強かった。

 希望していた背番号3への変更も検討したが「松田イコール5を印象づけたい」と最終的にはこれまでと同じ背番号5に決めた。来季もホットコーナーから声を張り上げ、工藤監督を何度も胴上げする。【福岡吉央】