DeNAのドラフト2位、熊原健人投手(22=仙台大)が、ライバル球団をほうふつさせるエピソードを携えてプロの世界に飛び込んだ。

 8日、横須賀市の青星寮に入寮した。大みそかは何をしていた? そう問われた熊原は「実家の神社を手伝いました。参拝してくれた人にヤクルトとお菓子を配った」と即答した。

 実家は宮城県角田市内の深山神社とあり、手伝いは分かる。だが、なぜヤクルト? 静まり返った報道陣に、熊原は理由を説明した。「万人に愛されている飲み物なので自分が小さいときからヤクルトを配っている」。ここで気付いた。今年から戦うことになる強敵球団の親会社の看板商品だと… 慌てるように「ヤクルト打線は強打で有名。トップレベルの打撃を肌で感じたい」と付け加えた。

 珍回答は続いた。入寮時の持ち物を問われると、幼少期から実家で飼っていた愛猫の写真を出した。「初めての寮生活。猫と離れるのが心残り」。ちなみに名前は? 「トラちゃんです。前日もトラちゃんと一緒に遊んでから寝ました」。そして気付いた。トラ(虎)といえば阪神タイガースだと…。「猫はかわいいですが、勝負の世界になればタイガース打線とも戦う。あまり気にしないようにしたい」とたじたじだった。

 残念ながら他の3球団との関連はなかった。「コイは飼っていないですね… (初詣客に)配ったお菓子はコアラ(ドアラ?)のマーチではないです」。身長178センチで、決して「巨人」とも言えない。ただ、熊原は「セ・リーグの球団と昔から縁があったということだと思います」と、にっこり笑った。

 今日9日からは新人合同自主トレが開始する。「(ドラフト1位の)今永には負けたくない。他球団との対戦の前にチーム内の競争に勝たないといけない」ときっぱり。今永にも、そしてヤクルトにもトラにも勝って、ペナントレースを盛り上げる。【為田聡史】