【グアム12日=福岡吉央】昨季限りでソフトバンクを退団した松中信彦内野手(42)が12日、自主トレ先のグアムで取材に応じ、現役続行をかけた勝負に出ることを明かした。今後もNPB球団からオファーがない場合、各球団に春季キャンプでの入団テストを依頼し、入団に至らない場合は現役を引退する意思を示した。20日の帰国後、各球団に入団テスト願いを出す。

 真っ黒に日焼けした松中の顔に悲愴(ひそう)感はなかった。昨年10月にホークスを退団。NPB11球団からはその後、3カ月たった今もオファーはないが、今年43歳を迎える男は決意を胸に、常夏の島で体づくりに励んでる。

 「最後、NPBで挑戦したい。オファーがなかったらもう1回テストという形でお願いしようと思っている。そこが最終的な判断。最後の勝負にしたい。入団テストを受けさせてくれる球団があるかどうかは分からないが年齢よりも動ける自分を見てもらえればまだチャンスはある。ダメなら諦めもつく。どっちになっても悔いはない」

 テストが行われないか、不合格の場合は現役を引退する意向を明言した。20日にグアム自主トレを打ち上げた後、国内でマシン打撃などに励む。並行して、ソフトバンクをのぞくNPB11球団に、春季キャンプでの入団テスト願いを出す予定だ。

 昨年11月には、国内の独立リーグのチームから「NPBの球団からオファーが来るまでの間、うちでやらないか」と声がかかった。だが、松中は断りを入れたという。それだけ、NPBへのこだわりは強い。

 「2軍ではここ数年、結果は出ている。でも1軍で結果を残さないといけない。いつ呼ばれてもいいように仕上げないといけない」

 これまで、オファーを待つ期限については「決めてない」と話していたが、NPBの支配下選手登録期限である7月末までオファーを待つのではなく、2月いっぱいが決断のメドとなることも明かした。「長いこと実戦から離れるし、7月まで待つのはない。とってっていただいても、オープン戦やシーズンで打てなければ終わりという気持ちでいる」と語った。

 昨年10月の退団後、体重を100キロから95キロに落とした。「やる気があると思ってもらえる体を常に見せないといけない」。グアムでは、ケビン山崎氏が代表を務めるトレーニングジム「トータルワークアウト」の下山英明トレーナーの指導のもと、ホークス松田らと体にムチを打っている。「引退」の2文字こそ使わなかったが、04年3冠王は現役続行への大勝負に備え、グアムの地で戦える体を仕上げる。

 ◆近年の松中 09年オフに右膝半月板手術の影響などを受け、10年から出場試合数や成績が急降下。12年には左手首故障などもあり、レギュラー定着後ワーストの65試合、4本塁打。13年6月13日ヤクルト戦で交流戦優勝を決めた際のセレモニーを欠席し、2軍落ち。その後も本来のプレーを取り戻すことができず、13年から3年連続0本塁打。15年10月1日楽天戦にスタメンも4打席4三振したのがホークス最後の試合に。同年オフに戦力外となった。なお15年はウエスタン・リーグ77試合に出場し、11本塁打、38打点、打率2割9分9厘。