黒くなり、精かんさを増した顔つき、ひとまわり大きくなった肉体。今年初めて鳴尾浜に姿を見せた4年目外野手の阪神緒方凌介(25)からはハワイ合同自主トレの成果がうかがえた。PL学園の先輩であり長く一線で活躍する一流選手とともにした10日間の成果をこう明かした。

 緒方 走り込みがしっかりできましたし、素振りも見てもらいました。それと食べるのもトレーニングだということで、すごく食べさせていただいた。

 下半身強化のための走り込み、そして、素振りによるスイングチェック。福留からは技術、体力面での薫陶を受けた。さらに一流はトレーニングを離れた部分でも戦っていることを教わったという。それが「食べトレ」だった。

 緒方 これまではお腹いっぱいになったら、もういいやとなっていましたけど『もっと食え』と後押ししていただいた。

 例年、ハワイではトレーニングの成果を上げるためステーキをはじめ、中華料理、和食など様々なジャンルの食事をとる福留だが、食の細い後輩を見て、食べることにも妥協するなという姿勢をたたき込んだようだ。現在もハワイで自主トレを続けている福留は意図をこう明かした。

 福留 あいつは食わず嫌いが多かったんだよ。それをなおす意味でも、いろいろなジャンルのものをたくさん食べろと言ったんだ。

 現在、外野の3ポジションで決まっているのは右翼の福留だけ。残る2つを中堅、若手で争う。この激しい競争は金本阪神の掲げる「超変革」の象徴と言ってもいいだろう。そして、緒方は指揮官が名前を口にするように、その有力候補として期待されている。

 緒方 一緒にやれるだけで得るものがありました。言われたことを実践し、成長した姿を見せるのが恩返しだと思います。

 精神的支柱としての役割も期待される福留が、外野手争いの演出に一役買って出た。【鈴木忠平】