宮崎から仙台に持ち帰った手みやげは、内角打ち職人秘伝の「技」だった。

 楽天北川倫太郎外野手(22)が23日、コボスタ宮城室内練習場のマシン打撃で快音を響かせた。185センチ、82キロの体全体を使ったスイングで、内角球を次々とたたきつぶす。「トップの位置を大きく取って、手だけでなく体全体で内角を引っ張る。体を大きく使うことを心がけています」と昨季からの変更点を伝えた。

 思わぬ出会いで内角打ちに開眼した。明徳義塾の先輩、ヤクルト森岡に師事して8日から18日まで宮崎で合同自主トレを行った。図らずも、セ・リーグ打点王の畠山と一緒に練習をする機会を得た。初日の打撃練習を終えた直後。「おい」と声をかけてきた畠山に、いきなり核心を突かれた。

 畠山 お前、さてはインコース引っ張れないだろ。

 北川はその瞬間が忘れられない。「僕の打撃、1回見ただけですよ。それで課題を言い当てられた」。だからこそ助言が身に染みた。「内角を反対方向にという意識ばかりで、トップが小さいし、手打ちになっていた。体全体を使えば内角が引っ張れるし、打撃の幅も広がると教わりました」。昨季はプロ初打点を挙げたが、本塁打は0。畠山へ感謝を伝えるために、今年こそ内角球を右中間スタンドにたたき込む。【松本岳志】