ルーキー・バッテリーが独り立ちした。DeNAのドラフト1位、今永昇太投手(22=駒大)が2日、今季本拠地初戦であるヤクルトとのオープン戦に先発。同4位戸柱恭孝捕手(25=NTT西日本)とのコンビで果敢に内角を攻め、昨季王者を5回1安打無失点に封じ込めた。これで対外試合は3試合12イニング連続無失点となり、開幕ローテーション入りがますます現実味を帯びてきた。

 ラミレス監督の言葉が、新人バッテリーへの信頼を物語っていた。「今日は初めて、ベンチからサインを一切出さない試合になった。それはチームのゴールでもあるし、目標でもある」。配球は今永と戸柱に一任された。結果は5回をわずか1安打。ピカピカのプロ1年生が、昨季王者のツバメ打線を手玉に取った。

 初回、今永の直球が走った。抑えたい。一番意識していた山田に、自己最速タイの148キロで空を切らせた。「自分に求められているのは四球じゃないので」。新人の怖いもの知らずは武器になる。2打席目も、課題としていたクロスファイアで懐をえぐり、2球で2ストライク。4球で三ゴロに打ち取った。

 2巡目からは変化球を増やした。「同じリーグなので、今永は打ちやすいという印象を与えると次から響く」。目先を変えて4回、バレンティンを3球連続チェンジアップで空振り三振に仕留めた。狙いどおりに、凡打の山を築いた。

 あうんの呼吸が絶妙なコンビネーションを生んだ。3回に高く浮いてきた直球を見た戸柱はぽつりと言った。「目線が浮いてる」。このひと言で低めの制球が持ち直した。それもそのはず、戸柱は今永が駒大1年時の4年生。東都大学リーグ戦以来の女房役だった。試合前のブルペンで尋ねた。「何年ぶりや?」。すでに集中していた後輩の答えはそっけなかったが「僕はうれしかったですね」。プロの舞台での再会に心が躍った。2安打2得点、バットも踊った。

 2回には7打数連続安打6得点の大量援護もあり、ラミレス監督の本拠地初采配に白星を贈った。「戸柱さんがいい配球をしてくれました」と笑った左腕の連続無失点記録は、3試合12イニングに伸びた。指揮官は「グレート。文句なしだ。このままいけば巨人戦で投げることは間違いない」。あらためてシーズン本拠地開幕カードでの先発を“予告”した。【鎌田良美】

 ◆今永昇太(いまなが・しょうた)1993年(平5)9月1日、北九州市生まれ。永犬丸中では軟式野球部。北筑高では甲子園出場なし。駒大では3年秋に7勝2敗でMVP、神宮大会優勝。東都リーグ通算18勝16敗。15年ドラフト1位でDeNA入団。177センチ、80キロ。左投げ左打ち。背番号21。

 ◆戸柱恭孝(とばしら・やすたか)1990年(平2)4月11日、鹿児島県生まれ。鹿屋中央高では甲子園出場なし。駒大では3年春から正捕手で4年秋に東都リーグ打率10位。NTT西日本に進み15年ドラフト4位でDeNA入団。178センチ、88キロ。右投げ左打ち。背番号10。