阪神横田が日本一軍団を相手に株を上げた。勝負強さを見せつけたのは3点を追う5回だ。1死二塁。加治屋の暴投で走者は三塁に進む。その直後、抜けたフォークに襲いかかり、痛烈なゴロで中前に運んだ。反撃の口火を切る適時打にも浮かない表情で振り返る。

 「1点かえせる打球を打ちたいと思った。良かったです。でも、3打席目にチャンスで打てなかった。反省してやっていきたい」

 同点に追いついた直後の6回2死一、三塁の勝ち越し機で空振り三振したのを悔いたが、この日も2安打をマーク。金本監督も「結果だから。不思議やな」と首をかしげた。2月の沖縄・宜野座キャンプから好調を持続し、実戦9試合で5度目のマルチ安打。打率4割1分9厘と大暴れする。

 漫画の主人公も顔負けのアクションぶりだ。この日の試合前練習中、実は、あわや故障のアクシデントに見舞われていた。室内練習場に向かうヤフオクドームの通路で滑り、尻から激しく転倒。周囲は爆笑し、横田も「これ、1面にしてください!」とはしゃぐが、冷や汗の光景だった。そそっかしさも20歳の若武者の魅力だ。金本監督を「不思議な存在」や「漫画の主人公」と言わしめるなど、スケールは計り知れない。

 3回1死一塁。右中間の飛球を捕ったが、体重が後ろに残った姿勢で送球は弱くタッチアップを許した。得点に結びつくミスを「自分のスキ。油断したところ」と猛省する。失敗も成功も繰り返し、1軍への道を切り開く。