阪神金本知憲監督(47)が、闘魂注入で若虎のバットを目覚めさせた。

 ソフトバンク戦の3回攻撃前だ。守りから引き揚げてくる若虎を手招きでせかした。急きょ三塁側ベンチ前で円陣を組むと「何しとんや!」と怒りを爆発させた。「ネクストからしっかり準備して、狙い球絞っていかんといい投手は打てんぞ!」。オープン戦とは思えない緊張感が漂った。

 金本監督 何となく打席に入っていた。気持ちの準備ができてない。だから簡単に追い込まれて三振4つ。うち見逃しが2つ。若い選手のすることじゃない。

 日本一軍団の開幕投手を務める摂津の前に、2回まで4三振して無安打無得点。江越が1球も振らずに3球三振など、見逃しストライクが9球もあった。消極打法で格上の投手を打てるはずがない。

 就任後最大級の闘魂注入で、若虎が魔法にかかったように目覚めた。3回先頭高山は初球を右前打。続く小宮山も初球打ちの遊失でチャンスを拡大。さらに北條も初球を狙いすまして左中間二塁打を放つなど、摂津から2点を先制。2戦連続ドローへ先手を打った。

 だがカツはこれだけではなかった。江越には試合後、2軍降格を命じた。キャンプからの実戦は打率2割8厘で0本塁打。昨年の就任会見でも横田、陽川と並んで期待する選手に挙げた中堅のレギュラー候補だったが、厳しい愛のムチだ。

 金本監督 いろいろ悩むのはOKだし、乗り越えてもまた次の壁が来る。変化球攻め、内角攻めとね。でもそこに勝っていかないと、レギュラーは張れない。

 闘う集団づくりの舞台は、いよいよ聖地に移る。今日5日(ロッテ戦)は、甲子園での初采配だ。【松井清員】