下馬評を覆す。23日紙面での日刊スポーツ評論家の順位予想に広島緒方孝市監督(47)が苦笑いで反抗を誓った。昨年の同時期は黒田の復帰もありAクラス予想ばかり。今回は広瀬叔功氏を除く全員がBクラス予想だった。低評価をよそにスタートダッシュへ。新しい切り込み隊長の田中広輔内野手(26)も闘志をみなぎらせた。

 低評価がなんのその! プラスにとらえて進むだけだ。緒方監督は「気にすることはないけどね。プレッシャーもマークも薄れていいくらいの気持ちでね」と苦笑いを浮かべた。23日紙面の日刊スポーツ広島版。評論家の順位予想で、12人中、11人が広島をBクラスと予想した。最下位予想の御大も2人いた。ファンの悔しい気持ちは、結果で発散させるつもりだ。

 指揮官という立場上、「不安なところが先に出てくる」と、リスクマネジメントが念頭にある。ただ就任以来、目標がぶれたことは1度もない。オープン戦最終戦でも「目標である25年ぶりの優勝へ向けてやっていくだけ」と気持ちを高ぶらせていた。前田が抜け、大瀬良が不在。確かに下馬評は低い。だが、覆すだけの力はつけてきた。昨季のヤクルトもノーマークからの優勝だった。残った結果がすべての世界だ。

 16年「下克上打線」も準備は万全だ。象徴となるのは1番遊撃の田中。「猛烈な初球打ちキャラ」を卒業し、レベルアップ。頼れる切り込み隊長として打線を引っ張る。オープン戦では15試合で打率2割8分9厘。1番を務めた11試合中5試合で第1打席に出塁している。バロメーターの逆方向へのファウルも手応えがある。シーズンの主導権を握れるか。スタートダッシュのキーマンだ。

 「このままの(心理)状態で入れるかも。去年は打撃がひどかったので。低めの球を見逃せているし、余裕が出来ているのかな」

 混戦が予想されるセ・リーグ。指揮官のタクトと田中の猛打でロケットスタートを決めれば、優勝の可能性も大きく広がる。打撃陣は好調で、投手陣も厚みを増した。冷静な指揮官の目の奥は燃えている。いざ、まくり上げのシーズンが始まる。【池本泰尚】

 ◆1年前は全員Aクラス 15年3月に掲載された日刊スポーツ評論家による順位予想では広瀬氏だけでなく梨田昌孝氏(楽天監督)一枝氏、山田氏、真弓氏、桧山氏の6人が広島を2位に推した。今岡誠氏(阪神2軍コーチ)や吉田氏、権藤氏、大石氏が3位とみるなど、Bクラス予想は1人もいなかった。