落ちてくれ。5回2死二塁、ロッテ細谷圭内野手(28)は中前への当たりに祈った。だが次の瞬間、打球は飛び込んだ中堅手をまたぐように外野を転々とし始めた。ギアを上げた。二塁を蹴って加速する。「ホームまで行くつもりで走ってました」。先制点を生んだ適時打は、3試合連続の三塁打。パ・リーグ記録に並ぶ当たりとなった。

 11年目にして初めてレギュラーの座をつかもうとしている細谷には、右脇腹に丸いあざがある。1日の試合で糸井の強襲安打を受けた。激痛があったが今のチャンスを逃すつもりはない。「検査していないので分かりませんが、たとえ折れててもやりますよ」。そう言って臨んだ試合で、しっかり結果を出して見せた。

 1試合3安打もこの日が初めてだが「それよりもバントを決められたことがうれしい。出されたサインを成功させることに強い意識を持ってやっている」と言う。内外野すべてを守れ、代打、代走とこなしてきたユーティリティー選手への信頼度は日増しに高まる。伊東監督も「レギュラーとして出られる力をつけている。あとは経験」と高評価した。

 今日3日の試合でも三塁打を放てば60年に長嶋茂雄(巨人)がつくった4試合連続三塁打のプロ野球記録に並ぶ。「長嶋さんですか、それはやばいです。やってやろうという意識もないです」。FAで抜けた今江の穴を埋める苦労人が、ミスターの記録に肩を並べようとしている。こういう選手が出て来るから、今のロッテは強い。【竹内智信】

 ▼ロッテ細谷が3月30日楽天戦から3試合連続三塁打。54年蔭山和夫(南海)55年三宅宅三(毎日)58年本屋敷錦吾(阪急)93年浜名千広(ダイエー)07年早川大輔(ロッテ)13年鈴木大地(同)に並び7人目のパ・リーグタイ記録をマークした。今日のオリックス戦で60年長嶋茂雄(巨人)が持つ4試合連続三塁打のプロ野球記録に並ぶことができるか。