広島は延長12回の末、巨人に敗れた。序盤の劣勢から一時は追い付いた。好守で流れを引き寄せ、信頼の厚い2人の中継ぎにイニングをまたがせ、終盤のマウンドを託した。しかし、緒方孝市監督(47)の執念の采配も実らなかった。2カード連続の負け越しにも、指揮官は懸命に前を向いた。

 試合途中から降り続けた雨を受けながら、広島ナインは一塁側ベンチ前で最後まで声を上げた。しかし、野間の力のない二ゴロが一塁へ転送され、ゲームセット。延長12回4時間29分の試合は、広島の敗戦で幕を下ろした。

 緒方監督 勝つチャンスはあったと思う。チームが力をつけていく、成長していくためには、こういう試合を勝ち切れないといけない。

 指揮官は努めて明るく前を向いた。痛い敗戦の中にも、前進するための材料はあった。3点ビハインドから5回は丸が、8回は会沢がいずれも2死から長打を放ち巨人を捉えた。前日まで先制された試合は開幕8試合で4試合あったが、3試合で追い付き、2試合は逆転勝利を収めていた。そのしぶとさは、この日も発揮された。

 守備でも勝利の執念を見せた。9回は丸が村田のライナー性の打球を左前方に飛び込んで好捕。10回は中崎が1死満塁のピンチを切り抜けた。流れを引き寄せ、執念の継投で勝ちに行った。9回から抑えの中崎、11回からはセットアッパーのジョンソンにイニングをまたがせた。しかし、9回の1死一、二塁の好機を逃すと反撃ムードは沈静化。緒方監督は「ピンチをしのげばチャンスが来る。チャンスをものにできなければ相手にチャンスが行く。これが野球」と悔やんだ。

 試合後、昨季1度も2軍降格のない野間を降格させた。代わりに開幕前に野手のキーマンに挙げた鈴木を昇格させる。この日の試合前まで「30から50打席は立ってもらう」と話していたが、半分の15打席で招集を決断。好調な打線のテコ入れに早期のメスを入れた。開幕から9試合で4勝5敗。指揮官はチームにより強い反発力を求めている。【前原淳】