“仮に野球賭博に関与した選手がまだいたら、6日から25日まで20日間の間に申告してください。そうすれば無期ではなく、1年間の失格処分にします”

 プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は4日、日本野球機構(NPB)の調査委員会が提案した「自主申告」を促す特別措置を実施することを決め、都内で行われたプロ野球実行委員会で12球団に通知した。野球賭博問題の全容解明を目指し「現協約上許される範囲内において、(過去の過ちを)言いやすい環境を整えることが必要。有害行為の不正を、この機会に根絶したい」と言った。

 野球協約には、野球賭博等を禁じる180条に違反した場合、無期または1年間の失格処分になると記されている。巨人を舞台にした一連の野球賭博問題では昨年、賭博を行っていたことが発覚した選手3人が無期失格処分を受けた。今年3月に新たに高木京介投手の関与が判明したが、回数が少ないことや調査に協力的だったことなどを理由に1年間の失格処分となった。特別措置では、25日までに申告すれば、野球賭博常習者や反社会勢力との関係を絶つことなどを条件に、無期失格処分に含まれる「1年間から5年間の有期」という解釈を、「1年間の有期」に限定する。

 調査委員会の大鶴基成委員長(61)は「コミッショナーの裁量権の範囲内で、その最下限をとる」と説明。ただ、1年間の失格処分をさらに短くすることは野球協約上できない。同委員長は「協約の範囲内でできるのは、これがギリギリ。協約を改正すれば、もっといろいろできるかもしれないが、調査を徹底し、かつ選手の苦悩を解き放つものは何かと考えていくと、これしかない」と、さらなる緩和には踏み込まなかった。

 今回の特別措置にともない、各球団とNPBは、選手本人の申告や相談、さらに匿名電話にも応じる情報提供窓口を設置する。特別措置は、他の選手をプロ野球賭博に誘うなど悪質な場合や、八百長による永久失格処分には適用されない。