阪神4年目北條がプロ初先発で初タイムリーを放った。2点差を逆転し、1点リードとした直後の3回2死一、三塁。「先輩方がいい流れで回してくれた。僕も攻める気持ちを忘れずに」。外寄りの直球をライナーで右前にはじき返した。

 北條 1打席目もチャンスで回ってきたのに踏み込みきれず、結果的に凡退してしまった。この打席では初球から踏み込んで打とうと思っていました。

 腰痛のゴメス、発熱のヘイグが先発を外れ、急きょ本職外の三塁で先発。2回1死一、二塁では外角低め直球に対応できず、空振り三振に倒れていた。再び巡ってきたチャンスで価値ある1本。4月3日DeNA戦でプロ初本塁打を放っているが、甲子園初安打はプロ初の適時打となった。

 終盤は経験不足も露呈した。4点を追う7回1死一、三塁ではフルカウントから空振り三振。広島中田の甘く入った130キロ直球に屈した。3点差に迫った9回無死満塁では一塁線ゴロで打点をあげたものの、直前の内角高めシュートを素直によけてしまっていた。

 金本監督 ちょっと詰めの甘いところもあるけどね。(7回は)バットに当てれば1点入っていたわけだし、満塁でよけたり…。それは経験。経験がないのは承知の上で使っている。それを肥やしにして、次はないようにしないといけない。

 指揮官は期待が大きいからこそ、指摘も忘れなかった。好機での三振を「当てようと思いすぎて縮こまってしまった」と振り返り、「真っすぐに力負けしている。そこが課題」と悔しさを隠さなかった21歳。そのギラついたままの表情に、未来がある。【佐井陽介】