もう1つの「日本記録」も目前に迫った。ソフトバンクのリック・バンデンハーク投手(30)が7回1失点で今季3勝目。7回に同点ソロを浴びたが、直後に柳田の押し出し四球で勝ち越し。来日初登板からの連勝記録を「12」に伸ばした。66年堀内(巨人)の13連勝まであと1勝だ。「直球はキレもコントロールもよかった。内と外にうまく投げ分けられたね」。デビューから負け知らずの右腕はこの日も白星を積み重ねた。

 地震の影響で、首位決戦の初戦登板が巡ってきた。福岡でも連夜の揺れを経験。緊急地震速報で鳴り響く携帯電話に少なからず動揺はあった。当初は中止になった16日楽天戦に登板予定だった。好調の和田や千賀を1日ずらして、中9日でマウンドに上がった。そこには工藤監督の親心があった。「そんなに地震を経験していないし、不安になっているのでね。福岡よりは向こう(千葉)の方がいい」。7回1失点は指揮官の思いに応える力投だった。

 QVCマリンの強風など悪条件もクリア。「この球場の特徴を頭に入れていたよ。いい準備ができていた」。チームは7連勝となり、単独首位に躍り出たが、何より先発陣の安定があってこそ。9日のオリックス戦(鹿児島)、バンデンハークの勝利で始まった連勝。この間、すべての試合で先発投手に勝ち星がついており、守りの安定感が勝利に直結している。負けないバンデンハークが、3連覇へと導いていく。【田口真一郎】

 ◆バンデンハークが来日初登板から12連勝。デビューから12連勝以上は66年に13連勝した堀内(巨人)以来、50年ぶり2人目。「初登板から」の条件を外しても、外国人投手が12連勝以上は87~88年郭泰源(西武)13連勝に次いで2人目になる。今季のバンデンハークは走者を得点圏に背負って14打数1安打の被打率7分1厘で、許した適時安打が1本だけ。簡単に適時安打を打たせないバンデンハークが、次回の登板で2つの連勝記録に挑戦する。