5月復帰を目指して動きだした。楽天藤田一也内野手(33)が21日、仙台市内の泉練習場で故障後初めて守備練習と打撃練習を行った。5日のオリックス戦の守備で走者と交錯して、左胸を強打。当初は打撲と診断されていたが、12日に再検査を行い左肋骨(ろっこつ)の亀裂骨折が判明した。離脱後、チームは6連敗するなど頼れるベテランの不在は大きい。順調な回復は明るい光となる。

 藤田は確かめるようにノックの球をさばいた。場所は二塁の定位置。正面、一塁方向へ走りながら、そして逆シングル。約10球と少ない本数ながらも丁寧に捕球し、素早い送球を繰り返した。「状態は2割ですかね。ゲッツーの時の切り返しとかがまだ痛みがある。でも痛いとか言ってられないでしょう。5月の頭に(実戦に)戻ることができたら」。浮かべた笑みに手応えと覚悟がにじんでいた。

 確実に復帰への階段を歩み始めた。この日はウオーミングアップ後に室内練習場に入り、ティー打撃と打撃投手の投げる緩めの球をネットの中で打った。故障後初の打撃練習。力を込めたスイングができるまで回復していた。「僕は左打者だから肋骨にくっついている腹斜筋の影響も少ない」と体の軸が負傷箇所への負担を減らしていると分析。

 攻守で明るい材料が見える中、チームメートの復活も背中を押す。腰痛のために離脱していた岡島が1軍練習に合流。1月の合同自主トレを一緒に行う後輩も復帰に向けて着々と準備を整えている。「岡島が『藤田さんが戻る頃には貯金を3くらいにしておきます』って言ってたんでね。自分もやらないと」。負けられないと刺激を受けた。

 この日は最後にベースランニングをし、練習終了。左肋骨の亀裂骨折の全治は5日から3週間の見込みだ。骨は完全にくっついていないが「もうケガから2週間ちょっとたったからね」と自らを奮い立たせた。目指すは5月の復帰。チームを救う男が、黙々と汗を流している。【島根純】