“ほぼ横浜高校打線”が火を噴いた。DeNAは6番までの5人が左打ちの地元名門高出身者。石川雄洋内野手(29)の先制1号ソロに始まり、筒香嘉智外野手(24)の両リーグトップタイ8号ソロを含め、8点のうち6点を占めた。ラミレス監督がズラリ左打者を並べた国産打線が、ズバリ的中して連敗を2で止めた。この新奇オーダーが低迷打破につながるか。

 もちろん中心にドカッと座るのは不動の筒香だ。“ほぼ横高打線”の中でも若いが貫禄は十分だった。3回は石川、乙坂がお膳立てした1死二、三塁から遊ゴロで1点をかえす。6回には中堅右へ8号ソロを突き刺した。さらに1点差に迫られた7回には2点を奪った後、ダメ押しの右前適時打。3方向に打ち分け3打点を稼いだ。

 お立ち台では石川、乙坂と並んで立ち少々照れていた。「前の先輩、後輩がつないでいただいたので、その流れに乗って打つことができました」と話した。ラインアップも珍しいが、お立ち台独占もなかなかない。「やっぱり先輩、後輩には特別な感情はあります。ずっと横浜スタジアムでやってきたので、うれしいです」。

 先制パンチは石川だった。左翼ポールのスタンドぎりぎりに飛び込み、ボールがグラウンドに返ってきたため全力疾走していた。「後ろに後輩2人がいるので、つなごうと思って打席に入った」と言う思いが、ボールに最後のひと押しを加えたのだろう。

 初の3番に入った乙坂は1点差に詰め寄られた7回1死満塁から価値ある2点適時打を中堅に返した。「お世話になっている先輩と一緒にプレーできて幸せです」と、感謝の気持ちだ。オフはドミニカ共和国へ筒香、飛雄馬とともに行って試合には出られなかったが武者修行を積んだ。

 ラミレス監督の狙いは当たった。相手先発が右ということもあり、故障と不振のロペス、ロマックだけでなく好調の桑原も外して左を並べた。同一高校出身者が多くなったことには気付いていなかったが、「素晴らしいタレントがそろっている」と認めた。ことに乙坂には就任当初から大きな期待を寄せていた。「あしたも3番で使います。得点圏に強いし、よく振れている。練習の時と試合では集中力が違う」と評価。“ほぼ横高打線”が浮上の突破口を開く。【矢後洋一】

 ◆横浜高出身は17人 横浜高出身の現役プロ野球選手は17人で、今季の出身高校別では最多。2位は広島野村らの広陵で15人。3位は日本ハム中田ら大阪桐蔭の14人。