苦すぎるデビューとなった。プロ初登板初先発の西武ドラフト1位多和田が2回持たずにKO。初黒星を喫し「緊張は多少ありましたが、思ったように投球出来なかったことが一番悔しい」と唇をかみしめた。

 立ち上がりは順調だった。右足の膝から下がマウンドにベッタリつくまで沈み込むフォームから、低めに集めて3者凡退。「初回うまくいけて、いい感じかなと思ったが、そこが甘かった」。2回無死一塁から近藤、レアードに直球を引っ張られての連打を許して満塁。そこから、まさかの3連続押し出し四球で交代を告げられた。

 武器の真っすぐを痛打され腕を振り切れなくなっていた。「甘い球は見逃してくれない。コースを意識してしまった部分もあった」。制球ミスへの恐れが持ち味を消した。四隅を狙う意識が、逆にボール1個分のズレにつながる悪循環を生んだ。潮崎ヘッド兼投手コーチも「精神的に負けてる感じだった」と指摘した。

 満員の敵地ながら、スタンドには「おのれを信じて戦え多和田」という横断幕が掲げられていた。次回も先発を託される右腕。「次のチャンスは、こういう投球をしないようにしたい」と46球で終わった初舞台の雪辱を誓った。【佐竹実】

 ▼プロ初登板の多和田が2回に3者連続押し出し四球。連続押し出しのプロ野球記録は1リーグ時代の47年4月20日溝部(阪急)の4者連続だが、2リーグ制後は14年8月24日久保(巨人)以来16人目(セ8人、パ8人)のワーストタイ記録。新人の3者連続押し出しは、36年12月6日松浦(名古屋)40年6月18日小野寺(イーグルス)94年加藤(ロッテ)に次いで4人目となり、デビュー戦では40年小野寺以来、76年ぶり2人目となる。小野寺は巨人戦の9回に登板し中安、四球、四球、三振、三振の2死満塁から8番永沢、9番スタルヒン、1番白石と3者連続押し出し四球を与え降板した。