ロッテがまたも楽天との激しい打撃戦を制し、2試合連続で延長サヨナラ勝ちを決めた。最大5点のビハインドから逆襲し、6回に細谷圭内野手(28)の代打満塁本塁打で逆転するなど、一挙に7点を奪った。救援がつかまりまさかの延長突入も、最後は延長11回、アルフレド・デスパイネ外野手(29)が相手の抑え松井裕から左前適時打を放った。2試合連続サヨナラ勝ちでの合計22得点は、2リーグ制後で最多。濃厚な白星が続いて貯金は7だ。

 身を低くしたデスパイネが猛然と…逃げた。延長11回1死一、三塁。4番は楽天松井裕のチェンジアップが「浮いている」と見逃さず「対応できた」。抜ける確信があった。同時に、仲間の興奮が自分に降り注ぐ危険を感じた。2試合連続の延長サヨナラ。しかも13得点した翌日の9得点。はじけるのは無理なかった。

 案の定だった。もう1人のヒーロー細谷が三塁から突入。目いっぱいの力でホームを踏む。きびすを返し大砲へ突進した。出遅れまいと飛び出す選手の手にはペットボトルの水が完備。一斉にタックルされ、シャワーを浴びた。デスパイネは「2日間、長かった。エネルギーを全部、使ってしまった」。日本で試合の幕を引いたのは初めての経験。差し引いても、事のでっかさに少し面食らった。

 ロッテの面々が喜びをぶつけ合ったのは、この試合2度目だった。4点を追う6回。相手先発の釜田が突如として乱れ、3連続四球で降板する。1点差、なお満塁で伊東監督が動く。バイプレーヤー、細谷を代打に送った。2ボールから、3番手浜矢の直球。「ファーストストライクから。直球1本。強く打つ」。前日サヨナラ打の井口に倣った積極性は、バックスクリーンに届く打球となった。

 代打逆転満塁本塁打。時短の昨今、めったにお目にかかれないベンチ総出で飛び出しての出迎えになった。岡田は11年目の苦労人におぶさった。この回だけで7得点。誰もが勝ったと思った。自慢の中継ぎが8回につかまり、まさかの延長。連日のジェットコースターに乗り、乱高下の末に突き抜けた。

 伊東監督は紅潮していた。「大味な…。勝ったからいいが。細谷のホームランで逃げ切らないと。お客さんは喜んでくれたと思うが。ミスもあった。手綱を締める」とさらした。ロッテの野手には、若さと思い切りの良さがみなぎっている。9回からの2イニングを悠々またぐ西野に、2番からの11回を3者凡退に抑える大谷。投手陣には二枚腰の厚みがある。「細谷はそろそろ打つ」と予言していた伊東監督には、乱戦をくぐり抜ける勝負勘と眼力がある。かみ合っているから夢のような2日間を両取りできた。【宮下敬至】

 ▼ロッテが14年8月6、7日楽天戦以来の2試合連続サヨナラ勝ち。2試合とも延長戦は13年3月29、30日オリックス戦以来、チーム3年ぶり。14日のスコアは13-12で、2試合合計22得点。2リーグ制後、2試合連続サヨナラ勝ちの合計得点では横浜が98年7月14日○8-7巨人、15日○13-12巨人で記録した21点を上回る最多となった。2試合合計20失点以上でも連勝したのはヤクルトが93年5月18日○14-7広島、19日○17-16広島で記録して以来23年ぶり珍事。

 ◆98年横浜の2試合連続サヨナラ勝ち 7月14日は初回に鈴木尚の適時打、ローズの3ランで4点を挙げ、4回までに6点リードした横浜だが、巨人は5回に松井の満塁弾で1点差へ。9回に清水、松井の連続適時安打で追いつくも、その裏に石井琢の二塁打でサヨナラ勝ちした。逆に、15日は横浜が追う展開。7回に鈴木尚の1発を含む5安打で3点を挙げて9-9の同点。7点差を追いついた。8回、巨人が高橋の3ランで突き放すも、その裏に佐伯の2ランなどで3点を挙げ再び同点に。9回に波留が槙原からサヨナラ打を放ち、両軍20安打の乱戦に決着がついた。横浜はこの2試合を含め10連勝し首位を快走。60年以来のリーグ優勝、日本一に輝いた。