王者に直球を投じる。中日ドラフト1位小笠原慎之介投手(18)が今日31日、ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でプロ初先発のマウンドに上がる。史上初となる高卒ルーキーの交流戦開幕戦デビューに向け、ヤフオクドームできっちり調整。昨夏、甲子園で東海大相模を優勝に導いた左腕が、日本一連覇中のソフトバンクにもおくせず攻めの投球をする。

 舞台は整った。中日ドラフト1位小笠原は「昨日(29日)の試合後、(森)ヘッドに先発させるからなと言われた。最初は何のことかなと思ったんですけど、うれしかったです」と笑みを浮かべた。24日に出場選手登録されてから5試合連続登板なし。待ちに待ったデビュー戦は、交流戦といえども「開幕投手」の大役だった。

 谷繁監督は「楽しみですね。プロに入ってやってきたことをそのままぶつけてくれたらいい」と背中を押した。2月キャンプから1軍に同行し、オープン戦のマウンドも経験。先発登板を重ねるため開幕は2軍スタート。ウエスタン・リーグで6試合(先発は5試合)に登板し0勝2敗、防御率5・47。数字は見劣りするが、着々と経験値をためてきた。どんな強敵でも臆さないだろうと期待を込めて抜てきした。

 相手は2年連続日本一のソフトバンク。印象を聞かれると「すごい打っているチームですし、日本一強いチーム。打たれて当たり前なので、思い切り投げたいと思います」。切れ目なしに襲いかかってくる打線は破壊力抜群。現在7連勝中で貯金18とパ・リーグで圧倒的な力を発揮する強敵に、投げ込む球種は決まっている。「(直球を)しっかり投げられればいいなと思います」と、最速151キロの直球で勝負する。

 絶体絶命でも、揺るがない。東海大相模の2年夏、神奈川大会準決勝で強豪横浜と対戦。出番は9回2死満塁、3点リードから1点を返された場面だった。相手に勢いはあった。それでも直球主体に攻め、右飛に抑えた。「攻め方は完璧でしたね」と自画自賛する投球で、甲子園出場までつないだ。

 昨夏は甲子園制覇まで達成した。友利投手コーチは「何も変わらないよ。現代っ子だからね。小笠原は小笠原だったよ」と平常心が頼もしく映る。ここ一番で大仕事をやってくれる-。そんな気がしてならない。【宮崎えり子】

 ▼昨夏甲子園優勝投手の小笠原がデビューする。甲子園優勝投手がプロデビュー戦で勝てば、11年4月17日ロッテ戦の斎藤(日本ハム)以来。斎藤は早大を経て入団しており、高卒新人では松坂(現ソフトバンク)が西武時代の99年4月7日日本ハム戦で記録して以来となる。なお、甲子園優勝投手に限らず中日の高卒新人投手のデビュー戦勝利は、87年巨人戦でノーヒットノーランを達成した近藤真一が最後。